新型コロナウイルス感染拡大により、各地で緊急事態宣言が発令された2020年5月。この外出自粛要請中に、都心から日帰りできる秘境といわれる埼玉県秩父市のなかでも、“人里離れた”という言葉がピッタリ当てはまるお寺が存在するという情報を得ました。
そこで緊急事態宣言が解除された先日、梅雨の雨間を見て“密”を避けながら、この秘境探訪に出かけてみました。
探訪先は、「大陽寺(たいようじ)」。ここは非常に長い歴史を持ち、秩父のパワースポットとして有名な「三峰神社」にも劣らない、秘境のパワースポットとしてにぎわっていた過去があるのです。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
約700年もの歴史を持つパワースポット「大陽寺」へ
大陽寺は、鎌倉時代末期の1313(正和2)年、後嵯峨天皇の第3皇子仏国国師(通称、鬚僧大師)によって開基されたと伝えられています。
ちなみに国師というのは、高い位の僧侶に対して朝廷から与えられる称号です。天皇の血を引く高僧ですから、相当位の高い僧侶が開かれたということなのでしょう。昔は「袋養寺」と書き、三峰神社に劣らぬ繁栄ぶりをみせた禅宗の寺なのだそうです。
そして山岳信仰が強かった開基当時の秩父地方ではまれである、女性参詣者を迎え入れる寺としても有名だったのだとか。このため、江戸時代には“東国の女人高野山”とも称されていたそう。
そんな深く長い歴史を持つ大陽寺は、秩父十三仏霊場のひとつでもあります。本尊は釈迦如来とされ、閻魔堂に安置されている木造閻魔大王座像を中心とした13体の仏像は、江戸時代に作られたものといわれており、県の文化財にも指定されているのです。
想像以上の秘境感。自然に心も癒される
大陽寺は奥秩父に位置する山中にあり、国道140号線から大血川沿いの小道に沿って山を登って行けば辿り着きます。大血川沿いには人気の渓流釣りスポットが有るのですが、大陽寺はさらにその奥に進んだところ。
そのため道中は「本当にこの道で合っているんだろうか…?」と、考えさせられるほどの深い場所です。
ところどころ道が崩れた舗装林道を進んだ先、頭上を覆っていた木々が開けたその場所が大陽寺の駐車スペースです。ちなみに私が訪れた際に駐車していた車やバイクの数はゼロでした。
山頂に近く周りに高い建物が無いことから普段よりも空が広く感じられるこの場所は、携帯電話の電波も届かない、本当の意味での人里離れた土地です。
境内までは、駐車スペースから細い小道を少し歩きます。舗装がされた道ではありましたがクモの巣が張っていたりして、少なくともこの日は人が通っていないだろうことを推測できる状態でした。
駐車スペースに標識もあるため、この道が正規の参道かと思っていたのですが、到着してみたら裏門のようなところに出てしまい、少々戸惑いました。
おそらく表門は、この仁王像が安置された門なのでしょう。安置されている木造の仁王像については特に説明書きなどは無かったのですが、一部朽ちたような状態となっていたことから、後に紹介する閻魔大王座像にも近い歴史を持つのではないかと感じました。