年末年始は各国の習慣が色濃く出ますよね。21世紀、令和の時代に入ったいまでも日本には昔ながらの習慣が数多く残っています。
例えば、おせち料理を食べたり、子どもにお年玉を渡したりすることも昔ながらの習慣や伝統のひとつです。
しかし、それらの文化に慣れていない外国人からすると、驚いたり不思議に思ったりすることも少なくありません。
そこで今回は身近にいる日本の在住、あるいは日本に在住経験のある海外の友人たちに、日本の年末年始で不思議だと思う習慣を聞いてみました。
なんで窒息してまで、もちを食べるの?/カナダ出身
まずは日本の伝統的な食べ物に関する疑問から。日本では年末年始に、さまざまな験担ぎの食べものを口にしますよね。
それこそ「何で食べるの?」と、私たち日本人すら由来や意味を知らない食材を口にするわけです。例えば、年越しそば、おせち料理、お雑煮、七草がゆなど、いろいろ。
もちろんこうした儀式に近い食べ物に対しては伝統なので納得するみたいですが、なかには外国人からすると「なぜ!?」と思うものも。
日本に留学経験のあるカナダ出身の30代の女性によれば、のどに詰まらせて高齢者が亡くなるくらいなのに、どうして日本人はリスクを冒してまで「もち」を食べようとするのか不思議に思う、と教えてくれました。
確かに、もちの窒息事故は、毎年のように発生します。東京消防庁によれば、毎年12月~年明けの1月にかけて、特にもちの窒息事故は増えるとの話。
2013(平成25)年から2017(平成29)年までの5年間に、もちをのどに詰まらせて、東京都では521人が救急搬送されているのだとか。その9割が、65歳以上の高齢者だといいます。
それでも正月にもちを食べようとしますよね?どうして日本人は、これほど年末年始にもちを食べるのでしょうか。
『子どもと楽しむ にっぽんの歳時記 食と手作り12か月』(主婦と生活社)によれば、例えば雑煮は年神さまに供えるもちを、一緒にいただくという意味があるとされています。年神さまとは、
<正月に家々に迎えて祭る神。豊作の守り神であり、祖霊>(小学館『大辞泉』より引用)
ですね。神様に前年の収穫物であるお米からつくったもちを備え、おすそ分けとして、自分たちで雑煮でもちをいただくわけです。
さらに重要な点として、もちは、おいしいです。個人的にいえば、富山県産の新大正もち米でつくったもちのおいしさは、やめられません。
美味しく食べるためにも、とくに小さな子どもや高齢者のかたは食べる前に小さく食べやすい大きさにして、水分をしっかり補給しておくとよいでしょう。
そしてなるべく誰かと一緒に注意しながらよく噛んで食べるようにするといいですね。消費者庁では「消費者への注意喚起」として、年末年始のもちを食べるときの注意点を公開しています。無理に食べないこと、そして食べる前は必ずチェックしておきましょう。