理解ができない…外国人が不思議に思うニッポンの5つの謎
なぜ旧正月を祝わないの?/中国出身
次は中国人の意見を紹介します。中国の沿岸部の大都市郊外に生まれ、日本への大学留学を機に、日本で働きながら暮らしている中国出身で40代の友人の言葉です。
「日本の年末年始の文化・習慣に関して、不思議に思うことはある?」と聞くと、「何で日本人は旧暦で新年(旧正月)を祝わないのか」といわれました。旧暦の新年といえば、日本でも有名な「春節」ですね。
日本は中国の影響を強く受けています。漢字はもちろん、食文化なども影響を受けていますが、日本人にとって最も大切な日である正月は新暦で祝います。この習慣に、中国人からすれば少し違和感を覚えるみたいですね。
例えば、中国の影響が大きいベトナムでは、旧暦で正月(春節)を祝います。香港や台湾はいわずもがなです。
一方の日本は、沖縄の一部の地域では旧正月を祝う風習が残されていますが、1873(明治6)年に太陽暦に切り替えてから、きれいさっぱり旧暦で新年を祝わなくなりました。
いい方を変えれば、日本は旧正月に行っていた伝統的な各種のイベントや風習を、まるごと明治時代に新暦の1月1日にスライドさせた国なのですね。
恐らくその背景には、日本を欧米に並ぶ「一流の国」と示したい強烈な思いが、当時の日本の首脳陣にあったはずです。
司馬遼太郎の著書を見ると、幕末から明治初期の指導者たちは、国際法の順守に極めて潔癖だったと分かります。日本を世界のルール=欧米のルールに従わせ、自分たちを「一流国」だと見せたい思いが、あったからだとされています。
太陰暦から太陽暦の切り替え、旧正月を新正月に移植した大改革は、いま振り返れば(教科書的に歴史を振り返れば)きっぱり移行しているように見えます。
しかし想像するに、実際は庶民の間で感覚的にしっくりいかない時期が続き、最初は不平不満が強くありながらも世代交代とともに100年くらいかけて、既成事実のように定着していったのかもしれませんね。