年の終わりである12月は、古くからの行事や習慣がめじろ押しです。
長きにわたる歴史のなかで、日本人が試行錯誤の末に生み出し習慣化した「伝統」は、現代に生きる私たちすると、さも背景に「何か高尚ないわれがあるんだろう」という感じがします。
しかし、実際は単なる「語呂合わせ」や「ダジャレ」だったり、思わずその誕生ストーリーに肩を透かされてしまう話も少なくないから驚きです。
そこで今回は、古くから伝わる日本の冬の伝統行事に隠されている意外な歴史や由来についてご紹介していきます。
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冬至の「ユズ湯」は、語呂合わせから
最近、日が短くなってきました。夕方にはすでに辺りは暗く、季節の移ろいを感じます。日の短さは、毎年12月22日ごろの冬至の日に極まって、再び夏至に向けて日が伸びていきます。2020年の冬至は12月21日です。
冬至は「太陽が生まれ変わる日」ともいわれる大事な日。その冬至といえば一般的に「ユズ湯」に入る習慣がありますよね。
筆者も毎年のように入っていますし、先だってユズを知人からもらった日には、ちょっと先走ってユズ湯を楽しみました。
まず香りがいいですし、ユズの成分が体にも良さそうな気がします。きっと昔から日本人は、冬至はユズ湯に入って、その効能を感じ、歴史のなかで習慣化させてきたのかもしれません。
しかし冬至にユズ湯に入るという習慣は、一説には単なる語呂合わせからきていると知っていましたか?冬至は「湯治(とうじ)」、長期間にわたって繰り返し温泉に入り病気やけがを治療する湯治と音が一緒です。
ユズは「融通がきく」の「融通(ゆうずう)」と読みが同じ。湯治は体を癒やす縁起のいい言葉で、融通も何かが滞りなく通じるといった意味を持つ縁起のいい言葉とされています。
この縁起のいい言葉同士を語呂で組み合わせ、冬至にユズ湯という風習が生まれたともいわれています。
結果として入ってみると、香りもいいし、実際に体が温まる部分もあるので、現代に至るまで普及・定着していったのかもしれませんね。
ちなみに冬至にカボチャを食べるという習慣もあります。カボチャは「南瓜(なんきん)」ともいいます。
「なんきん」は運(うん)の「ん」が2つ付く言葉です。運が付く縁起のいい食べ物として、冬至に食べられたと考えられているみたいですね。