全国に点在する「日本の城」。旅行における代表的な観光スポットであり、日本の歴史や文化を大いに感じられる場所のひとつです。
外観や建築、大きさなどそれぞれに個性がありますが、なかでも珍しさが秀でているのがアイヌ民族の「チャシ」と琉球王国の「グスク」です。
この度、お城への訪問記録を保存できるWebサイトの攻城団が、5年目となる「城めぐり初心者の旅行先にオススメの全国お城ランキング」を発表。「チャシとグスク」ランキングから10カ所をご紹介します。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
ここでしか見ることのできない、北海道と沖縄に生きた人々の証
第10位 ノツカマフチャシ/北海道根室市
10位にランクインしたのは、「根室半島チャシ跡群」のひとつに数えられ、国の史跡に指定されている「ノツカマフチャシ」。
1789年に勃発した和人とアイヌの戦い「クナシリ・メナシの戦い」の舞台となったスポットです。
北海道の松前藩による統治で居住を開始した和人たちが、元来の居住者であるアイヌ民族を酷使し労働を強制。蜂起したアイヌたちは71人の和人を殺害、関わったアイヌたちも処刑されたという悲しい出来事が起きています。
航空写真で見ると、半円状の堀が3点あるのがわかり、それぞれに1号と2号と名付けられています。ノツカマフチャシはこの2カ所から成り、掘られた壕の深さから主に1号が使用されていたとみられています。
第8位 豊見城グスク/沖縄県豊見城市
8位にランクインしたのは、1400年ごろに南山王の従弟・汪応祖によって築かれた「豊見城グスク」。
1429年に「三山統一の戦い」で南山の滅亡とともに落城しました。1853年には、黒船来航でおなじみのペリーが来訪したという記録も残されています。
昭和に入り、かろうじて残っていた遺構も沖縄戦で破壊され、近代では豊見城城址公園の整備を行う際にさらに取り壊され、2003年には管理会社が倒産。現在は閉鎖状態で、年に1度の「ハーリー由来祭り」のときだけ中へ入ることができます。
標高およそ54mの丘陵地にあり、漫湖を臨む見晴らしの良さも魅力のひとつ。竜神が祀られ、かつては雨乞いの儀式なども行われていたという伝承も。豊見城市による復元が期待されています。
第8位 カムイチャシ/北海道豊浦町
同数で8位にランクインしたのは、アイヌ語で「神の砦」という意味を持つ「カムイチャシ」でした。
歴史における詳細は判明していないものの、原形をほとんどそのまま留めているという珍しい場所であり、一帯が「カムイチャシ史跡公園」として整備されています。
内浦湾へと突き出すように形作られた茶津崎の丘の上にあり、辿り着くまでには、153段の階段を上って向かいます。壕は長さがおよそ16mで幅が5m、深さは3mにも及ぶという巨大なもの。
展望台から眺める雄大な湾はまさに絶景。神秘的な雰囲気が漂いながらも、同時に穏やかな空気に癒される場所です。蝦夷式砦の「丘先式チャシ」であったりと貴重な遺構であることから、国指定の景勝文化財「ピリカノカ」にも選出されています。
第7位 白老チャシ/北海道白老町
7位にランクインしたのは、仙台藩の白老陣屋跡であり、現在は「仙台藩白老元陣屋資料館」が置かれている敷地の一部「白老チャシ」。
なだらかな丘陵地となっており、林の中を進んでいくと頂上には「塩竃神社」が建設されています。
神社ができる前、チャシが造られていたというこの場所。江戸時代末期になると、ロシアからの勢力が攻め込んでくることを懸念した幕府が仙台藩に命じ、蝦夷地の警護が行われる中心地となりました。
その後も、チャシの遺構らしきものや記念碑などはなく、当時のことを知る手掛かりは皆無に。チャシの詳しい歴史についても判明していないものの、神社への道があり訪問のしやすさが支持を受けています。
第6位 座喜味グスク/沖縄県読谷村
6位にランクインしたのは、1400年代前半に築城されたといわれ、その美しさからユネスコ世界遺産に登録されている「座喜味グスク」。
沖縄戦で甚大な損傷を受けたものの復興され、重要文化財や国の史跡、さらに「続日本100名城」にも選出されています。
現存しているアーチ門としては沖縄最古と名高い見事な門構えをはじめ、美しい曲線が印象的な造形が特徴。調査による再建で蘇った石垣や石門などの迫力は圧巻で、県内でもトップクラスの人気観光スポットとなっています。
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