まるで昔話の美しい里山のよう。泉質豊富な熊本「黒川温泉」を訪ねる

「旅館 三河」の自然に溶け込む見事な露天風呂。image by:小林繭

九州の旅といえば、美味しいものとお酒、そして温泉! 別府や湯布院、指宿をはじめ、全国的にその名を轟かせる有名温泉が数多あるので、温泉地選びはいつも悩みどころ。そんな九州で“一度は行きたい憧れの温泉地”として度々名前があがるのが「黒川温泉」です。

黒川温泉があるのは、大分県との県境近い熊本県阿蘇郡南小国町(みなみおぐにまち)。阿蘇外輪と九重連山の裾野に広がる標高700mの高原地にある小さな温泉で、隣接する田の原温泉、満願寺温泉、黒川温泉の3つを総称して「南小国温泉郷」と呼んでいます。

筑紫川の支流である田の原川沿いに30軒ほどの温泉宿が建ち並ぶこのこぢんまりした温泉地は、2009年に「ミシェラン・グリーンガイド・ジャポン」で2つ星を獲得。それ以降、特に女性に人気の温泉地として広く知られることはみなさまもご存じのとおり。今回は、この黒川温泉の魅力をご紹介しましょう。

※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。

昔話に出てきそうな風情あふれる温泉街の風景

緑にあふれる温泉街の様子。image by:小林繭

黒川温泉を一言で表すなら、山間に現れる温泉街。あるではなくて、現れるなんです。自然豊かな温泉地は日本全国に見られますが、よくよく考えてみるとそういった温泉地には温泉街と呼べるほどの街はなかったりするのが普通なんですね。

ところが、黒川温泉は山間の中にある温泉地でありながら、にぎやかな温泉街もあるというのが特徴。しかも、国道のすぐ裏にあるにも関わらず、国道からはそこに温泉地があることもわからないんです。

風情あるこぢんまりした宿屋が並びます。image by:小林繭

標識に従って車を走らせると、突如山間に何やらにぎわいのある空間がひらけるといった塩梅。しかも、それは大型のホテルや旅館が建ち並ぶ温泉街の風景とはまったく異なる、実に可愛らしい温泉街の景観で、何もないと思っていた山里の中に突然人でにぎわう通りが現れるのは、ちょっと不思議な感じ。

道に迷った旅人が狸や狐に案内された温泉街とでもいったらいいか、何やら昔話に登場しそうなシチュエーションであることは確か。

散策が楽しい温泉街の路地。image by:小林繭
温泉街の真ん中にある「地蔵堂」image by:小林繭
散策のひと息には地ビールやラムネをどうぞ。image by:小林繭

中心を涼やかな川が流れる美しい景観は温泉情緒にあふれ、四季の自然に彩られた小径を歩けば土産物屋や甘味処、食事処が点在するので、浴衣姿で散策するのにぴったりサイズ。


フォトジェニックな坂道の風景。image by:小林繭
観光案内所は猫スポットでもあります。image by:小林繭

こんなにも自然が近く、それでいてにぎわいのある温泉街が目の前というのは、なかなか珍しいタイプの温泉地ではないかと思います。

イメージ的には湯布院をもっとぎゅっとコンパクトにした感じというか、鎌倉の小町通りに温泉がプラスされた感じというか。言わんとする感じがなんとなく伝わるでしょうか?

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