一度見れば一生忘れられない…東三河に伝わる不思議な花火「炎の祭典」

毎年夏になると全国各地で行われる「花火大会」。

紺の夜空に色とりどりの火花が舞う姿は日本の風物詩で、毎年花火大会を楽しみにしているかたも多いでしょう。みんなで見上げる大きな打ち上げ花火のほかにも、小さな手持ち花火も風情を感じるもの。

愛知県三河地方にはほかの地方には見られない特別な花火が存在します。それが豊橋発祥といわれる「手筒花火」です。

打ち上げ花火でもない、手持ち花火でもない珍しい手筒花火は、夏になるとさまざまなイベントで楽しめます。

今回はそのなかでも、毎年9月に行われる愛知県豊橋市の「炎の祭典」をご紹介します。

三河地方は花火の産地!

image by:photoAC

名古屋市の東に位置する豊橋市。豊橋市を中心とするこのエリアは東三河地方と呼ばれ、愛知県の中でも独特な文化を持つことで知られています。その文化のひとつが「花火」です。

現代では美しさを楽しむためにある花火ですが、もともと軍事用の「狼煙」が元。火薬を使うことから、危険なものとされていました。

反乱を恐れた徳川幕府によって三河地方でのみ火薬の製造が許可されていたため、製造地である三河では花火文化が発展。三河で作られる花火は「三河花火」と呼ばれ、花火の製作技術が三河で磨かれていきました。

そして三河エリアで生まれたのが「手筒花火」です。そんな三河でしか見られない伝統の「手筒花火」はどのようなものなのでしょうか?


「手筒花火」とは?

image by:photoAC

夜空に舞う「打ち上げ花火」や目の前で燃え尽きる「手持ち花火」は誰もが知る馴染み深いものですが、「手筒花火」はそのどちらとも大きく形が異なるものです。

この「手筒花火」は、人が両手で抱えて持ち上げられるくらいの大きさ。直径10cm、長さ70cmほどの大きな竹の筒に縄を巻き、火薬を詰めて体の横で抱えるように持ち上げる形のものです。

打ち上げ花火のように地面に置くのでもなければ、手持ち花火のように軽いものでもありません。体の真横で火花が上がる、とても迫力のある花火です。

手筒花火の発祥は豊橋市の神社

image by:Bariston, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

手筒花火の発祥の地とされているのが現在も豊橋市にご鎮座している「吉田神社」です。神社が発祥ということからも分かるように、手筒花火は神事のひとつとして捉えられていました。

現在も境内には「手筒花火発祥の地」と書かれた石碑が建てられています。

「火」は疫病払いや厄除けに効果があると信じられており、吉田神社の神事である豊橋祗園祭で奉納されるようになりました。

その伝統は400年以上続き、現在ももちろん続けられています。その豊橋祗園祭で奉納される手筒花火をもっと知ってもらおうと1996年に始まったのが、今回ご紹介する「炎の祭典」です。


毎年9月に行われる「炎の祭典」の魅力

image by:Shutterstock.com

1996年から始まった手筒花火を楽しむイベント「炎の祭典」。もともとは一度きりの予定だったそうですが、とても好評だったため毎年行われる豊橋の一大イベントになりました。

過去の開催では例年9月の第2土曜、日曜の2日間にかけて、豊橋市の豊橋公園内豊橋球場で行われていました。

愛知観光の中心は名古屋市となることが多いですが、豊橋市も新幹線が停車するためどこからでもアクセス抜群。

東京からでも新幹線の「ひかり」または「こだま」に乗車すれば約2時間ほどで到着します。日帰り旅行として手筒花火を見に行くのもおすすめです。

会場となる「豊橋球場」へは豊橋駅から路面電車でアクセスでき、約10分ほどの乗車で到着するため、遠方からでも迷うことはないでしょう。

例年5万人もの人でにぎわう祭典!チケット購入は必須

「炎の祭典」は豊橋市の一大イベントのひとつ。例年5万人もの人々が、手筒花火の勇壮なようすをひと目見ようと集まります。

お祭りの雰囲気を楽しむのももちろん重要ですが、一番の見どころは球場内で夜に行われる手筒花火です。

2019年に行われた「炎の祭典」からは昼の部がなくなり、球場で行われる手筒花火のショーがメインとなりました。

「炎の舞」と名付けられた手筒花火のショーは有料で事前のチケット購入が必要です。チケットは毎年8月初めごろに発売開始で、1,000円から5,000円までと席によって価格が異なります。

自由席で手筒花火の熱気を感じたいかたは内野スタンド席を、もう少し近くで迫力を味わいたいかたは座席指定の席を、荘厳な手筒花火のショーを写真に収めたいかたは三脚の使用が可能な席のチケットを購入しましょう。

チケットは売り切れになってしまうことが多いので、早めの購入がおすすめです。当日券が発売されることもありますが、舞台全体を見渡せる良い席で鑑賞するためには事前の予約は欠かせません。

10mもの炎の柱が上がる!?

image by:photoAC

「炎の舞」が始まるのは少し薄暗くなり始めた夕方の午後5時ごろから。荘厳な和太鼓の音色とともに最初の手筒花火に火が灯されます。初めて手筒花火を見るかたはまずその大きさに驚くでしょう。

長さ約70cmほどの大きな手筒花火は、体の大きな男の方が抱えて持たなければならないほど。

その重さは約2kg~3kgほどとされています。「揚げ手」と呼ばれる手筒花火を持つ方は、10mもの火柱が上がる手筒花火を垂直に持ったまま花火をあげ続けます。

image by:photoAC

10mもの炎の柱からは絶えず火の粉が降り注ぎますが、揚げ手は姿勢を崩すことなく手筒花火の最後を待ちます。神々しささえ感じる揚げ手の立ち姿に感動すること間違いなし。

手筒花火は最後に「ドン!」と大きな音を立てて終了。生で見ているとあまりの音の大きさに体がビクッと動いてしまうほどです。この「ハネ」と呼ばれる最後のシーンも見どころなのでぜひ注目してください。

「炎の祭典」であげられる手筒花火は約100本ほどとされています。一度に大きな火柱があがるようすや、並んだ揚げ手の端から火が立ち上るようすなど手筒花火の迫力を存分に味わえます。

2023年は11月開催!古くから伝わる神事を見学しよう

新型コロナウイルスの影響でしばらく中止となってしまった「炎の祭典」。

会場で見ることはできませんでしたが、全国の疫病退散と無病息災を願い無観客で炎の舞が行われ、そのようすが動画で公開されました。

燃え上がる炎を見ていると、なんだか体も心も浄化されていくような気分になるもの。

戦国時代以降の時代背景を理由に三河で発展し、その後伝統的な神事となった手筒花火。2023年は、11月3日(金・祝)と11月4日(土)の2日間開催されます。

チケットの詳細は夏頃に豊橋商工会議所のWebサイトで公開予定とのこと。ぜひいまから予定をあわせて、見学しに出かけてみましょう。

  • 第28回 炎の祭典
  • 豊橋公園内豊橋球場特設会場
  • 2023年11月3日(金・祝)、11月4日(土)
  • 開場16:00/開演17:00/終演18:30(予定)
  • 豊橋商工会議所「炎の祭典」詳細ページ
  • ※全席指定。当日席の販売はありません。
  • image by:photoAC
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
いま読まれてます
TRiP EDiTOR編集部 :TRiP EDiTORは、「旅と人生をもっと楽しく編集できる」をコンセプトに、旅のプロが語りつくす新しい旅行メディアです。