綾部の古民家料理店「お味噌庵 織りや」で室町時代を体感!

「海の京都」「森の京都」の両方に属し、豊かな自然に包まれた京都府綾部市。その山から由良川へとそそぐ犀川のほとりに今夏、「室町時代」をコンセプトに、心と体に優しい味噌料理を食べられるお店ができたと聞き、早速お伺いしてきました!

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茅葺の土塀門をくぐって室町時代へ

建物の前にある大きな栗の木が目印

JR綾部駅から車で走ること10分。ちらほらと山里らしき風景が見えだしたころに突如現れた立派な土塀と大きな古民家!こちらが、室町時代をコンセプトとした味噌料理店「お味噌庵 織りや」です。

門をくぐって室町時代へ

建物の裏にある駐車場に車を停め、土塀つたいに茅葺の門へ。外から見ているだけでも、とても趣があり、中がどのようになっているのか気になってワクワクしてきました。

この門が外の世界との結界のような役割を担っていて、門をくぐると一気に日本史の世界へ引き込んでくれます。

玄関を入ると土間があり奥にはおくどさん(※かまど)が。声をかけると、奥からにこやかなマダムが出てこられ、「お好きな席に座ってくださいね」とおっしゃってくださったので靴を脱いで部屋へ上がりました。

部屋へ上がってみてびっくり!ほの暗い部屋の中には、土壁に障子戸、欄間、和紙の照明がほのかに灯る、和の趣あふれる素敵な空間でした。黒光りした床をよく見ると藤や椿の美しい絵がうっすらと浮かびあがり、とにかくどこを切り取っても絵になります。

こちらのお料理は、味噌焼きおむすび2種と出汁茶、香物、甘味が付く軽食「むしやしない」もありますが、本日は予約をしておいた「朴葉味噌膳(ほうばみそぜん)」をいただきます。お料理ができあがるまで、少しマダムにお話を伺うことにしました。

「織りや」を営むマダムの正体は

実は、この「織りや」を営んでいるのは亀岡市にある「ドゥリムトン村」を造ったマリーさんこと、春山眞由美さんなのです。


亀岡にあるイギリスこと「ドゥリムトン村」についてはこちらをチェックください。

京都にイギリスの田舎町!? 絵本の世界が広がるドゥリムトン村

空間作りや、さり気ない物の置き方がセンスたっぷりで、どこを切り取っても絵になると感じたのは、それゆえだったのかと納得させられました。

マリーさんのお父さまが営んでいた織屋をオマージュした部屋

ところで、ドゥリムトン村といえば古き良きイギリスの田舎の風情を表現した空間。それなのになぜ今度は日本の、そして室町時代をテーマにしたお店を作られたのでしょうか……。

マリーさんの実家は京都市の「西陣」エリア。西陣織でも知られるきもの作りが盛んなエリアです。お父さまは西陣織の職人で、子供のころから手機(てばた※)の音を聞いて育ちました。

「京都にある“古き良き物”が私のスピリットにあるんですね。イギリスに対しても同じで“古き良き物”に魅かれるのです。でも、どこか心の中でずっと日本の古き良きものをテーマに何かやりたいと思っていたんです」とマリーさん。

※手機:手足を使って人力で操作する織機(しょっき)。

とはいえ京都市内で町家を使って何か始めるのは“ちょっと違う”と感じたマリーさん。

何が良いかと思案していた時、改めて生まれ育った「西陣」について紐解いてみることにしました。西陣は応仁の乱の時、西軍の本陣があったのが地名の由来。そして応仁の乱があったのは室町時代であり、乱の後、戦火を逃れていた職人たちが集まり織物業を再開したのが西陣織なのです。

そこで室町時代について調べてみると、桃太郎、浦嶋太郎、金太郎など昔話に登場する日本の風景、日本人が思い起こす昔の風景はすべて室町時代だということに気がつきました。

つまり「日本人にとって“日本の昔”に思いを馳せた時、絵として浮かんでくる風景が室町時代なんです」。それで一気にすべてが繋がりました。

60歳になったのを機に、ドゥリムトン村の運営やヨーロピアンな建物のデザイン設計を営む会社の社長を引いて会長となり、2021年8月、仕事で訪れたことがあり地の利のある綾部市の古民家で、室町時代をコンセプトとした「織りや」をスタートさせたのでした。

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