綾部の古民家料理店「お味噌庵 織りや」で室町時代を体感!
五臓六腑に染み渡る、心と体に優しい味噌料理
お話を伺っている間に野菜が蒸し上がり、お膳が到着しました。
塗の折敷(おしき)の上に載っているのは、自家製味噌の朴葉焼き、地元の野菜を使った蒸し野菜、マリーさんが何度も利き米をして選んだ綾部産コシヒカリ、湯葉豆腐のすまし。一つ一つ吟味した食材を使い、丁寧に時間をかけて料理したご馳走ばかりです。
炭火で焼く朴葉味噌には刻んだ鶏肉とシイタケが入っていて旨味たっぷり。ご飯だけでなく、揚げ、シイタケとも相性バツグン(日本酒も絶対いける!)。
朴葉味噌をいただきながら、そういえば以前、綾部の山をトレッキングした時、朴(ほお)の木があって、たくさん朴葉が落ちていたのを思い出しました。
朴葉は防腐効果や殺菌作用があり、薬にも使われていたのだとか。もしかしたら室町時代の人も、あの山の朴葉でこうやって味噌を焼いて食べていたのかも……。
▶すぐそばにある大自然「綾部トレイル」でトレッキングはいかが?
そして、何度も蒸し方を研究したという大きなニンジンは甘味がとても強く、驚きの美味しさ!マリーさんの心づくしのお膳を食べ進むうちに身も心も癒されていきました。
室町時代を体感する
食後のお茶をいただきながら、ふと外を見ると開け放たれた障子の向こうにはなにやら市場?らしきものが。用意された下駄を履いて庭に降りてみると、そこには室町時代の市場のようすが広がっているではありませんか。
室町時代は、三食する習慣が付き始め、経済や文化が著しく発展し、活気にあふれた時代。そして商店ができた時代でした。この商店を見ながら歩いていると、なんだか民衆がワイワイ言いながら品物を売り買いする声が聞こえてくるようでした。
「このお庭で羽衣餅や白味噌ぜんざいなど、甘味と抹茶を楽しむこともできますよ」とマリーさん。そういえば店内にはBGMがなく、聞こえてくるのは鳥の声と、かすかに聞こえる小川や風の音。なんて贅沢な空間なのでしょう。
「ここで室町時代をコンセプトに建物や食事、そして体験も楽しんでもらいたいなと思っています。できれば他にも室町時代をテーマにしたお店ができて、綾部が“なんか室町ってる!”って言われるようになったら面白いなとも思っているんですよ」
マリーさんがコロナ禍になって気が付いたのは、原点回帰ということ。「自分回帰ともいうのでしょうか、忙しいと心が無くなりますよね」
ワンオペレーションできるだけの程よい量の仕事をして(実際に織りやは予約で満席の時以外はマリーさん一人で営業)、夜は“あー、今日も良く働いた~”とアイスクリームを食べる……そんな仕事の仕方がちょうどいいとマリーさんは語ります。
「古民家の楽しみ方は移住だけでなく、そういうところにもあるのではないかと思うんです。もし、同じように自分回帰をして、楽しみながらお店をしたいと思われているかた、織りやのように大きなスペースがなくても大丈夫。二畳からでもできるので、訪ねてくださったら相談にのりますよ」
数年後には、綾部には古民家を活かしたお店が沢山でき、“室町ってる”なんてことになるかも。そうなったらどんな景色になるのかなと思うと、今からとても楽しみですね。
■■INFORMATION■■
お味噌庵 織りや
住所:京都府綾部市豊里町三宅107
TEL:050-8883-0204
営業時間:11:00~17:00(15:30L.O.)予約可
定休日:不定休
- source:KYOTO SIDE
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