「北京2022オリンピック競技大会」が開幕しました。アスリートたちがさまざまな競技で世界一の座を争うわけですが、競技のいくつかは、どこかの国の国技とされています。法律で定められているケースばかりではありませんが、国技として競技が親しまれている国の選手レベルはやはり高いです。
どうしてその競技が国技とされているのか、その背景を知れば競技や外国への理解も深まるはず。それこそ、特定の国が自国の国技で五輪の表彰台を独占したケースも過去にたくさんありますから、今回のメダル予測にも役立つかもしれません。
新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか外国に出られない現在、「北京2022オリンピック競技大会」をきっかけに国技を通じて外国への理解を深めてみてくださいね。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
スピードスケート
「北京2022オリンピック競技大会」の競技のひとつに、スピードスケートがあります。日本では、過去の冬季五輪で金メダルを取った清水宏保さんなどが有名ですよね。
そんなスピードスケートを国技とする国があるといわれたら、どこを想像しますか?北欧かどこかの国でしょうか。いわれるまで筆者は全く予想できませんでしたが、スピードスケートはオランダが国技としています。
いわれてみれば思い当たる節があり、首都アムステルダムのど真ん中に大きなリンクをつくって、スケートを真冬に楽しんでいる市民の姿を現地取材で見た記憶があります。
さらに調べてみると、オレンジ色のジャージを着たオランダ人選手たちが過去の冬季オリンピックで表彰台を独占してきたニュースが次々と出てきました。
スピードスケートといっても、細かくいえばいろいろ種類があって、距離の違いもあればリンクの大きさの違いもあります。
今回の冬季オリンピックでは、スピードスケートとショートトラックが別々に用意されています。そうなると何か別の競技のように思えてしまいますが、ショートトラックはスピードスケートの一種です。
正確にいえば、ショートトラックスピードスケートで、普通の1周320~400mくらい(ロングトラック)と違って1周111mくらいのトラック(ショートトラック)を何周も滑るスピードスケートだから「ショートトラック」と呼ぶのですね。
もともとオランダの選手は、長距離のレースを伝統的に得意としていたみたいです。しかし、短い距離に強い海外の選手を研究し、いまでは距離に関係なくオランダ勢が世界で圧倒的な存在感を示しています。
例えば、ソチ五輪(2014年)では、スピードスケートで23個のメダルを獲得し、ピョンチャン五輪(2018年)でもメダルラッシュを見せました。
今回もオランダ勢には要注目です。例えば、大会2日目の2022年2月6日に行われたスピードスケート男子5,000mでも早速メダルを獲得しています。金メダルはオリンピック新記録でスウェーデンのニルス・ファンデルプールが獲得しました。
しかしながら3大会連続で金メダルを獲得していたオランダ人のスベン・クラマーというスーパースターも出場していましたし(今回は9位)、オランダ勢のパトリック・ルスト選手が銀メダルを手にしています。オランダの強さは今回も変わらないのですね。
なぜオランダの国技になった?
そもそもの話として、どうしてオランダではスピードスケートが国技とされているのでしょう。その理由のひとつとしては、スピードスケートそのものがオランダで生まれたとされているからではないでしょうか。
凍った川や池を渡る際のスピーディーな移動手段としてスピードスケートが生まれます。そのスピードスケートに関する競技大会が非公式ながら1676年にオランダで開催されたと考えられています。
公式スピードスケート競技会の初開催については1863年のオスロー(ノルウェー)に譲るものの、第1回男子スピードスケート世界選手権大会はオランダのアムステルダムで開かれています。
オランダの地元紙によれば、子どもの6割、親の8割がスケートを滑るそうです。そこかしこでスケートを楽しむ国民の姿は筆者も実際にこの目で見ました。
卵が先か、ニワトリが先か、どちらかは一概にはいえないはずですが、選手が強ければスケート人気は高くなり、人気が高く愛好する人が多ければ、広大なすそ野から優秀な選手が輩出されます。
スピードスケートを国技とするオランダの選手たちには今回も要注目ですね。