毎年2月22日は「猫の日」として日本中がにぎわいますが、この2月22日は四谷怪談で有名なお岩さんの命日でもあるそうです。
今回は2022年、世間が“にゃあにゃあ”言って盛り上がっている合間を縫って、お岩さんが祀られている東京・四谷にある「長照山陽運寺」(以下、陽運寺)へご供養に行ってきた様子をご紹介します。ぜひ、今年度の参考にしてみてください。
目次
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
悪縁を断ち切り、良縁を結ぶ。お岩さんを祀る「陽運寺」へ
陽運寺は、東京都新宿区にある日蓮宗のお寺です。四谷怪談で有名なお岩さんを祀っていることから、於岩稲荷とも呼ばれています。
このお岩さんのパワーをもらうことで、悪縁との縁切り効果があるお寺といわれており、全国から多くの参拝者がやってくるそうです。
陽運寺は地下鉄、JRなどを利用してアクセスすることができます。地下鉄の場合、最寄り駅は丸ノ内線「四谷三丁目」駅で、3番出口から出て徒歩5分ほどの距離。
JRの場合は中央線、総武線「信濃町」駅が最寄りになり、ここから徒歩8分ほど。てくてく歩いて行くと、住宅街の中に陽運寺はありました。
本堂は1757(宝暦7)年に建造された薬師堂を移築した、寄木造りの建物です。
本堂に向かって左手奥が寺務所です。
日蓮上人の尊像のほかに鬼子母神や弁財天、大黒天などの尊像が安置されていますので、ぜひ一緒にお参りしましょう。
陽運寺のご利益について紹介する前に、このお寺が祀っているお岩さんについて説明します。
お岩さんは、四世鶴屋南北作の歌舞伎『東海道四谷怪談』に出てくる女性です。四谷左門の娘で、夫である伊右衛門の不行状(行ないが悪いこと)を理由に家に戻っていました。
伊右衛門は左門に対してお岩との復縁を迫りましたが、過去の悪事を指摘されたことから辻斬りに見せかけて左門を殺害。さらにお岩には左門の仇討ちをしてやると言って復縁します。
ところがお岩は産後の肥立ちが悪く、病がちになったために、伊右衛門はお岩をいやがるように。
そうしていたところ伊右衛門に横恋慕するものが現れ、伊右衛門はお岩に不義密通を働かせ、それを理由に離縁しようと画策します。
伊右衛門に横恋慕したものから貰った薬で、お岩は顏が崩れ、怒り狂って亡くなってしまいます。
その後、横恋慕した相手と伊右衛門の婚礼の場に幽霊が現れたことから、伊右衛門は妻と妻の祖父を殺害し逃亡、後に仇討ちをされるという物語です。
この四谷怪談の話にはベースになるものがありますが、この物語そのものはフィクションです。
しかし夫の裏切りにより不遇の死を遂げたお岩さんがその恨みを晴らしたことから、アレンジを加えつつ歌舞伎や落語などの怪談話の題材として使われたことにより、世に広まっていったそうです。
陽運寺でお参りすると、恨みを晴らし縁切りができるといわれています。
四谷怪談の恐いイメージが強いお岩さんですが、彼女自身は良妻賢母であったことから、古くから女性の守り神として信仰を集めていたそうです。
そこからお岩さんのパワーで悪運を絶ち切り、良縁が得られると言われるようになったのだとか。
参道から正面の突き当たりにはお稲荷さんがありますが、そこから左に折れた先が本堂です。この本堂にはお岩さんの木造が安置されています。
陽運寺の参拝方法は?
まずは基本。お岩さんが祀られている本堂へ参拝しましょう。
その後、後述する「水掛け福寿菩薩」で邪気を払い悪縁を断ち、次に「心願成就の石」で良縁祈願へ。これが悪縁を立ち良縁をいただくための参拝の順番です。
そもそも良縁を得るためには悪運と縁切りすることが必要になるので、まずはきっちりと縁切りをし、良縁をいただくのはそのあとに。この順番を守ることが大切なのです。
ちなみに悪運と縁切りをし、無事に良縁に恵まれたときには改めてお礼にお参りにくると、さらにご利益の効果があるそう。
また、「悪縁を絶ちきる」という意味では、人間関係だけではなく、ギャンブルやお酒、SNSの誹謗中傷などといったものとの悪縁を絶ち切るご利益も望めるんだとか。
ちなみに歌舞伎の興行が行われる時は、役者などの関係者が安全と成功を願って必ず陽運寺へ参拝に訪れるそうです。
邪気を払う「水かけ福寿菩薩」
「水かけ福寿菩薩」は、南無妙法蓮華経(なんみょうほうれんげきょう)と唱えながらお水をかけさせていただくことで、邪気を払ってくださるのだとか。
ただし2022年2月22日当時は、コロナ禍のためお水をかけることはできませんでした。場合によってはご挨拶だけにしておきましょう。
3つの願いが叶う?「心願成就の石」
その右隣には「心願成就の石」があります。本堂の前で購入できる「叶玉」(3個100円)を、願いを込めて1つずつ石の穴に投げ入れます。
3つとも穴に入れば、縁切りや良縁などすべての願いが叶うそうです。
なお、叶玉は持ち帰ってはいけません。必ず願いを込めて投げ、叶玉が入っていた入れ物は元の場所に戻しておきましょう。
お清めの水として使われる「お岩さま縁の井戸」
奥には、お岩さん縁の井戸がありました。境内のお清めの水はこの井戸の水が使われています。
ちなみにこちらの井戸は、1957(昭和32)年に新宿区の文化財に指定されています。
期間限定の御朱印も。お岩さんのパワーをいただきましょう
せっかく参拝に来たのならば、やはり縁切りや縁結びに関わるお守りはほしいものです。
陽運寺のお守りや御朱印は、寺務所で販売されています。私が訪れた日はお岩さんの命日ということで、期間限定の御朱印がいただけました。
陽運寺の御朱印と月ごとの限定御朱印(卯月にいただいたので水仙と福寿草が描かれています)がこちら。
一緒に訪れてたい!縁切りに効果があるといわれる「於岩稲荷田宮神社」
ちなみに、陽運寺のほぼ向かいには「於岩稲荷田宮神社」という神社があり、こちらもお岩さんゆかりの神社として知られ、縁切りのパワーがあると言われています。
強く縁切りを願うならば陽運寺とともに参拝するとよいかもしれません。
2023年も「お岩様御命日法要」が開催されます
2023年度も2月22日(水)に「お岩様御命日法要」が行われ、22日・23日(木・祝)には「献灯供養(けんとうくよう)」が、さらに今年度は3年ぶりに、22日・23日の10時〜16時の間でお岩さんの御尊像と御鏡が一般公開されます。
御尊像と御鏡を拝観するには、特別記念御朱印(お岩さんの岩塩付き/2,000円)をいただく必要があるのでご注意を。なお、特別記念御朱印については22日から2月28日(火)までいただくことができます。
ただし当日は混雑の可能性もあるため、もしじっくりお岩さんと向き合ってパワーをいただきたいのなら、1月と8月を除いて毎月1日に行われる「お岩様開運祈願祭」もおすすめです。
- image by:彩玲/photolibrary
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