皆さんの近所には、どのような「難読地名」がありますか?「地元の人じゃないと、絶対に読めないだろうなー」と感じる地名のことです。
戦国時代などは、このなかなか読めない難しい地名が、間者(スパイ)を見破るポイントになっていたそう。そして難読地名は全国各地に膨大にあります。
優秀なスパイでも暗記がきっと困難なくらいたくさんあって、それこそ難読地名を寄せ集めれば、たいていの会話が作れてしまうと感じるくらいです。そこで今回は、全国の難読地名を使って、日本語を作文してみました。
目次
- 1「愛のないグズめが!」
- 2「おい、噛まない!甲羅だ」
- 3「シシャモないごはん、超イヤ〜」
- 4「人来た!おいで!」
- 5「すご!君、祈祷師?」
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
「愛のないグズめが!」
誰かを思わずののしりたくなった経験はありませんか?例えば、誰かが困っている。いますぐ助けに動かなければならない。
にもかかわらず保身ばかり考えて決断しない人がいたとしたら、「愛のないグズめが!」と吐き捨てたくなるかもしれません。
例えば、こんな会話文も、難読地名があれば作文できてしまいます。
- あいのない(相内)
- ぐず(口袋)
- めが(女鹿)
言葉を細かく見ると、こんな感じ。
北海道北見市にある「相内(あいのない)町」、岩手県一関市赤荻にある「口袋(ぐず)」、山形県飽海郡遊佐町吹浦にある「女鹿(めが)」の組み合わせですね。
例えば、相内町には「相内神社(あいのないじんじゃ)」や「あいのない診療所」、「相内駅(あいのないえき)」など、ちょっと誤解を招きかねない名称も見られます。
ユニークな難読地名は、その土地にあるさまざまな場所の名前に影響を与えます。その響きを意図して遊んでいる人たちも一部には居るかもしれません。
ちなみに、「あいのない」とはアイヌ民族の言葉「アイヌ・オマ・ナイ」が転じて生まれたとの話。「アイヌ」とは「人」を意味し、「オマ」は「~にある・居る」、「ナイ」は「沢・川」といった語源からきているのだとか。
このアイヌ語の知識は、次から続く難読地名にも役立ちますので、ちょっと覚えておいてください。
「おい、噛まない!甲羅だ」
せんべいだと思ってかじろうとしたら、カメの甲羅だった、なんて状況ありませんか?「おい、噛まない!甲羅だ」なんていうかもしれませんね。
と、書きながら、そんな話は絶対にないなと自分自身思っていますが、こんな文章すら難読地名でつくれてしまいます。
- おいかまない(生花苗)
- こうらだ(小原田)
詳細はこのような感じです。北海道広尾郡大樹町にある「生花苗(おいかまない)」、岩手県遠野市上郷町細越にある「小原田(こうらだ)」の組み合わせになります。
後者の遠野市といえば、岩手県南東部の遠野盆地の中心地で、「小京都」ともいわれ、柳田国男の『遠野物語』で知られる場所ですね。河童の存在も有名です。最近では、ホップづくりでも知られてきました。
一方の生花苗は、北海道の十勝の南部にあり、汽水湖の「生花苗沼」だとか、生花苗沼に流れ込む「生花苗川」があります。大樹町といえば、サラブレッドの生産地としても有名です。
先ほどの難読地名にあったように、北海道の地名で「ない」ですから、アイヌ語の「ナイ=沢・川」が語源だと予想されます。
現に調べてみると、「(海波が)越え・入る・沼」といったアイヌ語が語源になっているそう。まさに、汽水湖(海とつながる湖)の生花苗沼を表現しているのですね。