「温泉大国」として名高い日本。環境省の「温泉利用状況」によると、全国で2,971カ所もの温泉地が確認されています(2019年時点)。そこで、温泉を選ぶ際に気になるのが「源泉かけ流し」や「天然温泉」といった用語です。
とはいえ「源泉かけ流し」や「天然温泉」の本当の意味を理解している人はどのくらいいるのでしょうか。
この度、阪急交通社が500名以上を対象に「日本の温泉に関する知識」について行った調査の結果について、早速チェックしてみましょう。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの国内・各都道府県情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
「源泉かけ流し」や「天然温泉」の違いは?
まず最初に行われた質問は「あなたは以下それぞれの言葉について、何を意味するのか理解していますか?」というもの。挙げられたキーワードは「温泉」「天然温泉」「源泉かけ流し」「温泉かけ流し」の4点です。
回答を見てみると、「温泉」を理解している人は62.8%と突出して高い数値となっています。
しかし「天然温泉」になると44.9%、「源泉かけ流し」は38.4%、さらに「温泉かけ流し」になると21.7%まで低下していました。
なかでも「温泉かけ流し」については、言葉そのものがあまり用いられていないのが現状。理解していない、という人の割合が多くなっているのも頷ける結果といえそうです。
温泉:地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガスで、温度又は物質を有するもの
最もポピュラーな単語でもある「温泉」には、実はしっかりとした定義が定められています。
それが「地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度又は物質を有するもの」という内容。
参照となる別表には「温度は摂氏25度以上、物質は溶存物質、遊離炭酸等19の物質のいずれか1つを一定量以上含むもの」と記載されており、温泉法に基づくこの定義により、私たちに馴染み深い「温泉」が誕生しているのです。
天然温泉:温泉の定義とほぼ変わらない
それでは、この「温泉」に「天然」という名称が加わった「天然温泉」とは何を指しているのかというと、その定義は「温泉」と変わらず、普通のお湯に温泉成分を加えて作られた「人工温泉」との差を明確にするための文言となっているとのこと。
「日本温泉協会」がしっかりとした審査を行い、認定した天然温泉には「天然温泉表示看板」が貸与されているため、「天然温泉」とされる温泉に訪れた際には探してみるのも良いかもしれません。
源泉かけ流し:徹底して「源泉」にこだわっている
さらに、もうひとつ気になる言葉が「源泉かけ流し」。響きからも高い効能が伺えますが、その名の通り「源泉がかけ流されている」という意味を持っています。常に浴槽へと新鮮な源泉が注入され続け、こぼれた湯はそのまま流してしまうため、とても贅沢です。
この名称を謳うからには、加水は絶対にNG。温度を調整するための加温は可能とされていますが、それでも「加温をする理由の提示」を必ず説明する義務が課せられています。徹底して「源泉」にこだわっているのが「源泉かけ流し」という言葉といえそうです。
温泉かけ流し:理由を提示した上で、加水と加温が可能
一方、混同しがちなのが「温泉かけ流し」。こちらは「源泉かけ流し」と大変似ているものの、加水と加温が可能という絶妙な違いがあります。
とはいえ「温泉かけ流し」に関しても「加水や加温を行う理由の提示」は絶対。「源泉」の方が良い、と外してしまうのは勿体ないかもしれませんね。
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