近代歴史を偲ぶ―舞鶴の赤レンガを支えた「神崎煉瓦ホフマン式輪窯」

長いトンネルが続くホフマン窯に入ってみよう

レンガを出し入れする戸口(出入口)

こちらは外から見るだけでなく一部だけですが、中に入ってみることもできます。早速、行ってみましょう。

ずっと向こうまでトンネルが続いていて倉庫のような感じです。高さは1.8m、幅が2.8mあり、立って作業ができるぐらいの高さですね。

レンガ窯の中にいるとヨーロッパの遺跡に迷い込んだような気分になります

窯の中でのざっくりとした作業の流れを説明すると、以下のような感じです。

各部屋には壁の仕切りがないので、まず隣の部屋との境に新聞紙を合わせた大きな紙を貼って空気の流れを止ます(新聞紙を使うというのが驚き!)。

そして乾かしたレンガと薪を部屋に積み上げたら戸口(出入口)を土などでふさぎ、この部屋の準備は完成。隣の部屋から火が回って来ると勝手に新聞紙が燃えて次の部屋に火がうつり、レンガが焼成されるのだそうです。

昭和31年ごろの作業風景image by:京都府立丹後郷土資料館

こちらでは多くの女性も働いていたそうで、この焼く前のレンガを窯に入れるのは女性の担当。部屋の温度は下がっているとはいえ、焼き上がったレンガを出したばかりの部屋での作業は暑くて大変だったそうです。

天井には無数に写真のような穴が開いていて、ここから燃料となる粉炭(石炭の粉)を15分間隔で投下します。これは男性の担当で、二交代制(後に三交代に)。食事の時間のみ女性と交代し、火は3~11月末ごろまで休まず焚かれました。

壁に作られた煙道
中の煙は煙道から煙突を伝って外に出ます

一度、火を焚いたらレンガがある限り永遠に焼き続けられますし、それだけ需要があったということなんですね。

ハートみたい!

ちょうど長円の折り返し地点。この部分は外からも見えるように補修をせずに崩れたままにして残しています。

無骨なレンガ造りの窯は、とにかくかっこいい!1日中火が焚かれ、たくさんの従業員の方々が働き、活気にあふれていた様子を想像するとワクワクします。

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