謎に包まれた「未開の地」は、まだこんなにたくさん残っているらしい【世界の不思議】

スルツェイ島/アイスランド

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アイスランドと呼ばれる、いかにも寒そうな国があります。大西洋でも北極圏近くにある島国で、その面積は北海道よりちょっと大きいくらい。

ノルウェーやデンマークの統治下に長らくありましたが、デンマークとの同君連合の形で1918年に独立。第二次世界大戦中のイギリス軍による占領を経て、1944年にはアイスランド共和国として成立します。

そんなアイスランドの南部沖には、「スルツェイ島」と呼ばれる世界自然遺産の火山島があります。1963年から4年間の噴火で生まれた新しい島で、ベストマンナ群島の最南端に位置します。

人間の干渉なしに植物や野生生物がどのように新島で生態系をつくっていくのか、天然の研究室として、その島の誕生時点から法的にも厳しく保護されてきました。

<動植物が定着する仕組みを知る上で非常に貴重な実験的環境と見なされ、2008年に世界遺産(自然遺産)に登録された>(小学館『大辞泉』より引用)

一部の研究者を除き、生態系の保護のために人の接近が認められていません。ある意味で、人類との接触を意図して排除されてきた「未開の島」なのですね。

ジャヴァリ谷/ブラジル

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次は、ブラジルのアマゾンにある「ジャバリ・バレー」(ジャヴァリ谷先住民区域)です。ブラジルとペルーの国境近くにある一帯は、外界の現代文明社会と未接触の先住民族が世界で最も集中するエリアとして知られています。

「アマゾンは広いといっても、いたるところで開発が進む現代社会において、未接触など可能なの?」と感じるかもしれません。

しかし、ジャバリ・バレーの面積はヨーロッパの1カ国分などに相当し、例えばオーストリアよりも広いとされています。

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また、ブラジルは憲法で先住民の伝統的な居住地域での生活権を認めています。その先頭に立つ機関として、国立インディオ基金(別名・国立先住民保護財団/FUNAI)があり、違法な採掘や伐採、農地開発などの業者による暴力事件や侵入犯罪から先住民族を守っているのです。

そのブラジル政府の機関からは、先住民族の情報が定期的に公開されています。例えば2018年にはドローンによる空撮映像が公開され、米ニューヨークタイムズなどにも掲載されました。

しかし、アマゾンに暮らす先住民族の保護は、当然ながら経済発展と矛盾します。現職のジャイル・ボルソナロ大統領も、国立インディオ基金の活動に前向きではなく、2019年に就任してからは、機関の職員・予算を削減する方向へ進んでいるとの話。

そのブラジル大統領を決める選挙が、ジャイル・ボルソナロ大統領と元大統領であるルーラ・ダシルバ氏との間で、この文章の執筆時点で行われています(決選投票は2022年10月30日を予定)。どちらが勝つのか、未開の地の行方と共に注目ですね。

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