横浜駅より終わらない?なぜか完成しない魅惑の「未完の建物」たち

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メトロポリタン美術館/アメリカ

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アメリカのニューヨークの中心に、セントラルパークという巨大な公園があります。日本で最も小さな村である富山県舟橋村と同じくらい巨大な公園です。

そのセントラルパークの東側の5番街には「メトロポリタン美術館」という大美術館があって、それこそ古今東西の美術品を収蔵しています。

建築物も特徴的で、イタリア・ルネサンス様式の正面玄関には大きな柱があり、その柱の上には分厚い装飾が施されています。

そもそもこの世界最大級の美術館がニューヨーク市民によって創設された時期は1870年です。開館はその2年後。セントラルパークの設計者であるC・ボークスがデザインしました。1880年には、現在の位置に移っています。

その後、十数回にわたる増改築が行われました。問題の正面玄関に関しては、リチャード・ハントらが設計し、『ブリタニカ国際大百科事典』によれば、1894年からの工事で1902年に完成したとされています。

しかし、よくよく見ると、正面玄関に並ぶ柱の上の装飾には、一部不自然な部分があります。四角い石灰岩が置かれているだけで、何も彫刻が施されていない部分が見られるのですね。

この装飾部は実は未完だともいわれています。なぜ、このように中途半端な状態で放置されているのでしょうか。

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メトロポリタン美術館の正面玄関を手掛けたリチャード・ハントは、没年が1895年です。要するに、正面玄関の工事中に亡くなっています。31の彫像を美術館の柱の上に飾ろうと方向性を示していたものの、その具体例を見せぬままに死去してしまいました。

その息子が意思を引継ぎ、建築・彫刻・絵画・音楽の方向性をあらためて示すものの、1901年に大不況が直撃し、完成間近で工事がストップしてしまいました。

翌年の1902年に工事が再開し、いったんの完成を見るものの、柱の上の石は未着手のまま放置されていまに至っています。いつか、この石に手が加えられるときは、大ニュースになりそうですね。

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