石の動物しかいない…世界の「動物園」はおもしろカルチャーの宝庫だった

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聖書に登場する動物を展示した動物園/イスラエル

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次は、イスラエルの宗教都市、エルサレムらしい動物園を紹介します。

そもそもエルサレムに動物園があるというだけで筆者としてはちょっと驚きですが、正式名称は「ティッシュ・ファミリー動物公園」です。通称は「聖書動物園(Jerusalem Biblical Zoo)」。

聖書やコーランなど、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教の経典に出てくる動物を中心に動物を展示。そして聖書やコーランの何ページに出てくるかなどが、解説パネルには詳しく書かれています。

いわば、園内へ足を運ぶと、動物と経典の理解が深まる仕掛けになっているのですね。

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ちなみに、ユダヤ教とイスラム教にとってブタは不浄な生き物で、口はもちろん、目にも入れてはいけません。

そうなると、本物のブタを展示するわけにはいかなくなります。そこで、経典に出てくるブタを同園では「ペッカリー」という、ブタに似た動物を展示しているみたいです。

辞書で調べると、ペッカリーはブタと同じく「ウシ目」と書かれています。確かに遠くない存在ですから、頭をひねった結果の展示だったのかもしれませんね。

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動物園の場所は、エルサレムの中心地から離れた、パレスチナ自治区との境界線のすぐ近くあります。言い換えれば、戦争と停戦が繰り返されてきた場所。

しかし、動物園のなかは緑も多く、穏やかで、民族・宗教・政治・経済など、いろいろな要因で争っているユダヤ人とパレスチナ人(パレスチナ地方に居住するアラブ人)が混ざり合って楽しんでいます。スタッフ・経営陣にも、ユダヤ人とパレスチナ人が混在しているそう。

日本の外務省によれば、ユダヤ人とパレスチナ人は、双方への不信感が強く、単純な意思疎通もままらないとの話。

しかし、動物園の中では、つかの間でも過去の戦争や争いについて忘れさせてくれる場所になっているみたいですね。

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