「ファッション」のトレンドの移り変わりって、本当に激しいですよね。
ファッションアイテムを売るための戦略が背後に動いているため、あるいは流行のファッションが着る人のステータスや見た目の良さを誇示する道具になる場合もあるためでしょうか。
後世から振り返れば、驚くようなファッションを過去の人たちがたしなんでいたケースが多々あります。
例えば、「コルセット」などは、あばら骨を骨折させたり、内臓を損傷させたりする恐れもあった服飾品ともいわれていますが、当時の人たちは当たり前のように着ていたわけです。
そこで今回は、「とんがり靴」や「厚底ブーツ」をはじめとした、過去に流行して現代でもリバイバルされたファッションなどをご紹介します。
目次
- 1つま先が長すぎる、とんがり靴「クラコー」
- 2かつて大流行した「ひだ飾り」
- 316世紀に大流行した厚底靴「チョピン」
- 4生活に支障をきたしてしまった「クリノリン」
- 5現代のファッションにつながる「ホブルスカート」
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つま先が長すぎる、とんがり靴「クラコー」
15世紀の一般男女に流行し、当時買える人であれば、誰もが履いたといわれる「クラコー」という靴があります。
靴の流行史を振り返ると、つま先の部分に大きな変化が現れがちなようです。
例えば、最もクラシックな男性用革靴のスタイルは、現在だと「ラウンドトゥ(エッグトゥ)」ですが、流行や各人の好みによって、選ばれる革靴の形も変わってくるでしょう。
筆者の勝手な偏見として、ひと昔前の男性のあいだでは、ファッションスタイルのひとつとして、とがった靴先の革靴を履く印象がありました。実際に、ファッション雑誌などでも「とんがり靴」として紹介されていたことを覚えている人もいるのではないでしょうか。
話は昔に戻り、15世紀ごろ。創造性への衝動がヨーロッパで強まり、奇抜で風変わりなファッションが流行した時代には、足元にも大きな変化が生まれたようです。
男性の場合、肩に詰め物を入れ、肩幅を広くして、存在感を出した服装が流行したので、シンプルな靴ではバランスが取れなかったのでしょうか。
ポーランドで最初に流行した、靴先のとがった「クラコー」、のちに古フランス語で「プーレーヌ」は、ヨーロッパ各国で流行し、その長さもどんどん強調されていきました。
基本的に、実用向けではありません。
つま先が長い=労働が必要ない=社会的な身分が高いと判断されため、『ブリタニカ国際大百科事典』によると、極端なケースではつま先の部分が1mの長さに達したのだとか。最終的には、法的な規制が出るまでに至ったそうですよ。
かつて大流行した「ひだ飾り」
イヌやネコが傷口をなめないように、あるいは、顔の周辺を繰り返しかきむしらないように、エリマキトカゲのひだのような器具を首に装着している姿を目にした記憶はありませんか?あのラッパ状の器具を「エリザベスカラー」と呼びます。
そもそも、エリザベスカラーという名称は、エリザベス朝の時代に流行した「ラッフル」というファッションアイテムがあり、それが名前の由来なのだそう。
このエリザベス朝とは、エリザベス1世が生きた時代で、1558(弘治4・永禄元)年に彼女は女王に即位しています。
エリザベス朝はこの年からスタートするのですが、同時期にエリザベス1世がひだ飾り(ラッフル)を礼装用に好んで身に付けたため、その姿がファッションシンボルとなり、大流行したそうです。
もともと、頻繁な着脱を前提としていて、上着の襟元や肌、ひげなどとシャツが直接触れる部分を清潔に保つ目的があったそうです。
しかし、洗濯のりが発見され、ひだ襟の形状がつくりやすくなると、次第に大きさが拡大し、プリーツなどの精巧さが競われるようになりました。
先ほどの靴先のとがった靴「クラコー」も一緒ですが、特徴的な形状の何かが流行すると、その流行の拡大期には、他との差別化を図って、その特徴的な形状が強調されていく傾向にあるみたいですね。
ひだ飾りに関していえば、巨大な布を繰り返したたんだ状態で形を維持するために、ピンを使用するケースもあったそう。首周りのファッションなのにピンがあるとは、ちょっと危険な印象もありますよね。