厚底ブーツは16世紀にも大流行?リバイバルされてきた「ファッション」の歴史
16世紀に大流行した厚底靴「チョピン」
いまから20年ちょっと前の2000(平成12)年ごろ、「厚底ブーツ」が大流行しましたよね。日焼けした肌に、厚底ブーツを履いたギャルが街中を歩いていたと筆者も記憶しています。
そのブームが去ったあと、厚底ブーツには再ブームが実はあったそうで、2010年(平成22年)に再流行。最近でもリバイバルされているファッションが流行っていたそう。
ファッションやデザインの流行は繰り返しやってくるとは、本当なのかもしれませんね。
しかも、この厚底ブーツの歴史は、なにも現代から始まったわけではありません。16世紀のイタリアの女性たちの間でも流行した記録が残っています。
その靴の呼び名を「チョピン(チョーピン)」といって、まさに厚底の靴です。ブリタニカ国際大百科事典によると、その当時の厚底には木、コルク、鉄輪などが使われていたそう。
「クラコー」や「ひだ飾り」と同じで、流行が進めば、差別化が始まります。
特徴的な部分がより特徴的になっていくルールどおり、チョピンは表面が豪華になっていくだけでなく、厚底の高さがどんどん高くなっていって、高さ約30cmに達したケースもあったそう。
イタリアのベネチアにある「コッレール博物館」には、高さ50cm近いチョピンも所蔵されているのだとか。
チョピンはもともと、泥や汚物で汚れた中世都市の路上環境が生み出しファッションらしいです。上流階級の女性の衣類が汚れないようにするための工夫から生まれた「実用的な」デザインでした。
しかし、高さ=社会的ステータスと直結しやすい側面があったのか、貴族階級がその高さを競ったみたいですね。
生活に支障をきたしてしまった「クリノリン」
今度は少し時代が下って、19世紀後半にヨーロッパで流行したアンダースカートの「クリノリン」を紹介します。
スカートの形を、逆さにしたチューリップの花のように広げるためのアイテムです。スカートの下に履くフープ状の下着で、イタリア語で「クリノリノ」、フランス語で「クリノリーヌ」、英語で「クリノリン」と発音します。
具体的には、1830年代にヨーロッパに登場して、1850(嘉永3)年ごろ、日本でいえば黒船が来航する3年ほど前に大流行し、労働者階級にまで広がったそうです。
もちろん、このクリノリンは現代もファッションショーなどで見かけます。しかし、街ゆく女性がスカートの下にクリノリンを装着している姿を見ないですよね。
このクリノリンも当然、流行と共に巨大化し、1860年代にその巨大化のピークを迎えたみたいです。
巨大化すれば、生活に支障をきたします。ドレスの裾が何かに引っ掛かって倒してしまう、倒すどころかドレスに火が燃え移りやけどを負う、最悪の場合は死亡する人もいたと、当時のニューヨークタイムズが報じているそうです。