14年の歳月をかけた美しき世界遺産。オーストラリア旅行で外せない「オペラハウス」
「地球のへそ」と呼ばれるウルル、コアラやカンガルーを始めとする特有の動植物たち、グレート・バリア・リーフのような美しいビーチに大聖堂…治安もよく、初めての海外旅行先としても留学先としても大人気の国「オーストラリア」。
そんなオーストラリアを代表する街といえば何といっても「シドニー」でしょう。国土の南東部に位置するシドニーにはこの素敵な国のアイコンがいくつも集まっています。
オーストラリア観光の定番地であるシドニーで、世界中の人々が一目見て「シドニーだな」と認識できるのは「シドニー・オペラハウス」(以下・オペラハウス)ではないでしょうか。地上にありながらも美しい船のような存在感を放つオペラハウスは2007年に世界遺産に登録されています。
20世紀に建築された建物の中で、世界一有名といっても過言ではないオペラハウス。今回はその歴史、魅力、楽しみ方に迫ってみましょう。
目次
オーストラリアを象徴する建物といえば…

真っ白な帆船のような姿、青い海とのコントラストがとても美しいオペラハウス。メディアでも何度も取り上げられるその姿を目にしたことのないかたはいないでしょう。2000年に行われたシドニーオリンピックの際も、シドニーを象徴する風景として頻繁に取り上げられていました。
このオペラハウス、姿形は知っていても実は世界遺産に登録された由緒正しい建築物だということをご存じないかたも多いのではないでしょうか?
オペラハウスは2007年、人の生み出した最高傑作のひとつで後世に受け継ぐべきとの理由から世界遺産に登録されています。誕生してから最短で世界遺産に登録された歴史的な建造物というわけですね。
日本からシドニーへ行くには?
オーストラリア国土の南東部に位置する港町であるシドニー。オーストラリアの国土面積は日本の約20倍!シドニーへは日本から直行便が就航しており約9時間30分から10時間ほどのフライトで到着します。
成田空港、羽田空港、関西国際空港、新千歳空港から直行便が就航しており日本国内で乗り換えることが可能。海外でのトランジットが不安なかたでも安心です。
オーストラリア国内の空港からもシドニー行きのフライトが多く就航しているので、一度乗り換えて向かうことももちろん可能です。
辿り着くのは「シドニー国際空港」!

シドニー旅の始まりとなるのがシドニー国際空港です。オーストラリア最大の空港であり、世界中から人々が集まるシドニー空港は市内から南に8kmほど離れた場所に位置しています。市街地から離れていないので24時間空港ではなく、遅くとも23時には到着するように決められています。
お土産物屋やカフェ、レストランなども充実しているので空港で時間を潰すのにも困りません。国際線は第一ターミナルに到着します。
空港から市内へのアクセスは?
シドニー空港は市街地から10kmほどしか離れていません。そのため市内へのアクセスも抜群。到着したらまずはシドニー市内を目指しましょう。
エアポートリンク(電車)で移動

空港と市内を繋ぐ電車が「エアポートリンク」です。荷物をピックアップして到着ロビーへ進むとあちこちにエアポートリンクの表示がしてあります。トレインとも書かれているので表示に向かって進みましょう。
空港とシドニー市内を繋ぐエアポートリンクは片道大人20~22ドル、子供は16~18ドルです。電車は7~15分おきに出ており市内までは約15分程度。あっという間にシドニー市内へ到着します。
乗り合いのシャトルバス(ミニバス)で移動
乗り合いのシャトルバスも運行しています。シドニー市内の主要なホテルや目印となる場所と空港を繋いでくれるので宿泊する場所によってはこちらの方が便利に感じられるでしょう。
こちらも到着ロビーにカウンターが設けてあるのでそちらで申し込むだけでOK。片道22ドルくらいとエアポートリンクと値段はほぼ同じです。交通状況によって到着時間が異なるので、急いでいるかたはエアポートリンクをおすすめします。
オペラハウスへのアクセスは?

シドニー市内は地下鉄とバスが張り巡らされているのでどこへ行くにも困りません。オペラハウスが位置しているのはシドニー市内北部の「ロックス」エリア。地下鉄で向かうなら最寄り駅は「サーキュラーキー駅」です。
駅から港沿いに歩いて行けば10分程度で到着しますし、大体降りたかたはそちらに向かって歩いていくので迷うことはないでしょう。
そもそもオペラハウスとは?

美しい外観がとても魅力的なオペラハウス。オペラハウスの姿を写真に収めるのはシドニー旅行の定番となっています。しかし、そもそもオペラハウスが一体何なのかはご存じでしょうか?
オペラハウスはその名の通り劇場・コンサートを行うためのホールです。年間では1,600もの公演が行われています。世界中を探してもこれほどまでに有名なコンサートホールはないでしょう。
オペラや舞台などが上演される場所ですが、中にはレストランやバーなども充実しています。公演のない日はオペラハウス自体を巡るツアーもあり、中に入って見学することも可能。外見の美しさだけで大切に保管されているだけではなく、今現在も利用されている数少ない世界遺産です。
オペラハウスの歴史を知ろう

オペラハウスの美しい姿は生で見ると写真以上。いつまでも眺めていたくなるほどの存在感を放っています。
これほどまでに美しいオペラハウスの建築は一筋縄でいくものではありませんでした。世界中に散らばる歴史的な建築物は今のようにインフラも、建築機械も整っていない時代に造られたものが多く膨大な年月がかけられています。
1973年に完成したオペラハウスですが、20世紀に造られたものとはいえすんなりと建築されたわけではありません。その歴史を少し知っておけば、旅がより一層学び多く味わい深いものになります。
きっかけは音楽学院の先生
オペラハウスが建築されたきっかけはシドニー音楽学院の校長先生。音楽や芸術を愛する校長先生は、シドニーに観劇やオペラを楽しめる大きなホールを造るべきだと州に働きかけを始めます。当時のシドニーには大きなホールはなく、音楽や演劇が楽しめる場所は限られていました。
1954年に州は働きかけに応じ、シドニーに大きなホールの建築を決めました。市民の動きによって建築が決まるなんてなんだかこの話だけでロマンチックですよね。
世界の名だたる建築家が参加したコンペ
ニューサウスウェールズ州はオペラハウスの建設を決め、その姿をコンペで募集します。集まったのは世界中の名だたる建築家の案233件。審査員も世界的な建築家でした。
コンペの末、選ばれたのはデンマークの建築家ヨーン・ウツソンのデザイン。今のオペラハウスと同じ、緩やかなカーブを描いた屋根が重なったデザインのものでした。ヨーン・ウツソン自身は有名な建築家というわけではなく、加えてこのコンペに提出された案はとても簡素なもので応募基準すら満たしていなかったといわれています。
しかしデザインの素晴らしさを世界的な建築家が認め、ヨーン・ウツソンの案を推したのだとか。この流れもとてもドラマティックで映画になりそうな物語です。
完成に14年の年月がかかった!
こうしてシドニー湾の先に建設が決まったオペラハウスですが、着工から完成まで14年もの年月がかけられました。最も困難を極めたのがあの船の帆のような柔らかな曲線を描く真っ白な屋根。この屋根の建設がとても難しく、チャレンジと失敗を繰り返してやっと今の姿になったのだとか。
真っ白な屋根は105万枚を超えるタイルが組み合わされ作られています。コンピューターでの図面を描く作業ができなかった時代のこと、すべて手書きで設計されました。気の遠くなるような作業で、莫大な時間がかかって当然と思える美しさを今も保っています。
オペラハウスの楽しみ方・見どころは?
ただのコンサートホールではないオペラハウス。公演を見に行くのでなくても十分に楽しめますし、いつも人々で賑わっています。次はオペラハウスの見どころや楽しみ方をご紹介しましょう。
まずは美しい外観を楽しもう

シドニー湾に突き出した場所にあるオペラハウスは、遠くから見た時の姿が素晴らしく美しい建物です。遮るものは何もなく、海に浮かぶ巨大なヨットそのもののような姿を堪能しましょう。
近づく前に少し離れた撮影スポットから全貌を写真に収めるのがおすすめ。こちらも美しい被写体となるハーバーブリッジとともに一枚の写真に収まる姿はシドニーを代表する風景です。
絵葉書のような風景が撮影できるのは「ミセス・マッコリーズ・ポイント」です。オペラハウスや最寄りのサーキュラーキー駅からは徒歩20分ほどかかる反対の半島にあります。フェリー乗り場の近くですね。
この反対側の半島から見るオペラハウスはどの角度から見ても絶景。複雑な構造だからこそ、いろんな角度で新しい姿を見せてくれます。
オペラハウスのテラスで一休み

オペラハウスの中にあるカフェやレストランもとても人気なのでぜひ立ち寄りましょう。海沿いに作られたテラス席や、屋根のある半外の席などは眺めも最高で何時間でも座っていたくなる特別な場所です。
シーフードの美味しいレストランもありますし、お酒が楽しめるバーもあります。朝早くの真っ青な海を眺めながらゆっくりするのも素敵ですし、夕暮れ時や夜景もとてもきれいなのでおすすめです。
オペラハウス館内ツアーに参加

オペラハウスに訪れたらぜひ参加したいのがオペラハウスの内部も外も余すところなく巡るガイドツアーです。オペラハウスの中に入るにはオペラハウスのツアー参加が必須。ツアーに参加しなければ中の見学はできませんので注意しましょう。
ツアーは日本語で行われているものも多く、丁寧な説明を受けながら細かく見て回ることができます。建設秘話や建物の構造について詳しく理解できますし、屋根のタイルに触れることもできます。ガイドさんの説明を聞いてからオペラハウスを眺めると違った視点で見られます。
オペラハウスで公演を見よう

オペラハウスで舞台を見るのは思い出にも残るいい旅の目的になるはず。オペラハウスでは年間1,600もの公演が行われています。ミュージカル、オペラ、バレエ公演など演目もさまざま。
チケットだけを購入したい場合はオペラハウスのホームページから購入できます。館内のツアーとチケットがセットになったもの、レストランとセットになったものなども多数あるので好きなものを選びましょう。
少しドレスアップして世界遺産で舞台を見るなんて日本では体験できませんね。ぜひ予定に組み込みましょう。
日本とは季節が逆だけどいつがベストシーズン?

オペラハウスを目的とした旅行のベストシーズンは特にありませんが、オーストラリアは日本と季節が真逆なので注意しましょう。また、紫外線がとても強いので日焼け止めや帽子は必須アイテムです。
ベストシーズンというわけではありませんが、いつもと違う特別なオペラハウスが見られるイベントが毎年5月下旬から3週間に渡って開催されています。それが「ビビッド・シドニー」。
2009年に始まった新しいイベントで、シドニー市内のあちこちでプロジェクション・マッピングやイルミネーション、コンサートなどが行われます。真っ白なオペラハウスにも鮮やかなプロジェクション・マッピングが映し出されとても幻想的。オペラハウスの造形の美しさが一層際立つイベントにぜひ参加してみてください。
オペラハウスのチケットと営業時間は?
オペラハウスツアーの入場券はオンラインで申込可能です。日本語ツアーの申し込みページはオペラハウスのホームページにある「Tours」の「Sydney Opera House Tour」より申込みが可能です。
すべて日本語での申込みというわけではありませんが、詳しいツアーの詳細なども記載されているのでぜひチェックしてみてください。
ツアーの所要時間は約30分間で、毎日11:00、正午、13:30、14:30、15:30に出発します。ツアーだけなら大人で35ドル。食事付きの「Tour & Dine」というツアーであれば大人88ドルで申込みができます。
今回はオーストラリアのアイコン世界遺産の「シドニー・オペラハウス」をご紹介しました。作られることになった経緯やできあがるまでの歴史を少しだけ知り、実際にオペラハウスへと出かけてみませんか?
美しい世界遺産の裏に隠されたストーリーに思いを馳せながら港を散策するなんて旅も素敵な思い出になること間違いなし。一人旅にもぴったりなシドニー旅の計画をぜひ立ててみましょう!
- シドニー・オペラハウス
- Bennelong Point Sydney NSW 2000 Australia
- 1300-764-849(月曜〜金曜 9:00〜17:00)
- サーキュラーキー
- 日本語ツアー 大人35ドル、小人25ドル/食事付きツアー 大人88ドル、小人47.50ドル
- 公式サイト
- image by:Javen/Shutterstock.com
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。