亡くなった人を葬る場所として、世界各国に必ずあるといっても過言ではない「お墓」。
宗教観によって埋葬方法などは異なりますが、日本国内でも身近に見かけることがあるはず。ただ、世界規模へ視野を広げてみると、日本では考えられないような不思議なお墓がたくさんあります。
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十字架の墓/リトアニア
最初は、ちょっとお墓とはいえないかもしれません。しかし、伝説の解釈によっては、お墓にもなるリトアニアの「十字架の丘」を紹介します。
リトアニアの北部に、シャウリャイという街があり、ここからおよそ約11kmほど離れた郊外に、十字架や聖像などが10万個以上もぎっしりと飾られている丘があります。
英『BBC』によると、この丘は誰が管理しているわけでもない、所有権を明確に主張する人や団体がいない丘みたいです。
その丘が、多くの信者の聖地巡礼の対象となり、巡礼者によって十字架が捧げられるために、現在のような姿になっているのだとか。
由来や歴史については諸説あるみたいですが、もともとは教会があって、激しい嵐と共に落雷があり、教会が倒壊し、砂と岩の下に埋もれてしまったとの話もあります。
悲しい話ですが、教会にいた人々は生き埋めになり、亡霊の目撃例もあるのだとか。死者が丘に眠っているという説をとると、十字架の丘は墓地のような場所ともいえるはずです。
では、どうしてこの丘に人々が巡礼し、十字架を捧げるようになったのでしょうか。
その理由は、この丘に十字架を捧げて祈ると、願いが叶うと信じられているからですね。ある意味、パワースポットのような場所なのかもしれません。
例えば、父親が病に伏せた娘のために祈り、木彫りの十字架を丘に捧げたという話があります。家に帰ってみると、娘の病状がよい方向へ向かい、玄関に立っていたという奇跡が伝わっていました。
真実ははっきりとわかりませんが、これらの言い伝えをきっかけに多くの信者が訪れるようになり、十字架を丘に捧げ、祈るようになったそう。結果として、現在のような十字架だらけの丘になっていったのですね。
崖つるされた棺桶/フィリピン
フィリピンに「ルソン島」という大きな島があります。日本と同じく島国で、日本でいえば本州にあたる巨大な島がこのルソン島になり、同島の真ん中くらいには首都・マニラがあります。
そのマニラから見て島の北部には、秘境の村といわれる「サガダ」があり、なんと絶壁の崖に木棺をつるす、世界でも珍しい習俗「ハンギングコフィン」の墓地があるのです。
この周辺には、山岳民族のイゴロット族という少数派民族が暮らしています。イゴロット族(タガログ語で「山の人」)は、マレー系の人たちで『ブリタニカ国際大百科事典』によると、約150万人ほどの人口です。
かつては、首狩りの習俗を持った人たちでした。スペインとアメリカの統治時代にその習俗を失いましたが、先祖の霊を含む精霊を信仰する習俗は残っていて、遺体を高い位置に埋葬し、土葬を避ける習慣も2010年ごろまで残っていたそうです。
その背景には、土葬では遺体が腐敗したり、掘り起こされて首を刈られたりする恐れがあったからなのだとか。
現在でこそ、墓地への埋葬が一般的になってきているらしいですが、ハンギングコフィンは観光の目玉として温存されています。
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