願いが叶うパワースポットも?世界各国にある不思議な「お墓」特集

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2023/04/22

国よりも大きい地下墓所/フランス

image by:Shutterstock.com

「カタコンベ」という言葉を世界史の教科書か何かで学んだ記憶があるはずです。

もともとは、ギリシャ語のカタキュムバス(「くぼ地の傍ら」)が語源らしく、ローマにある実際のくぼ地の古い地名から言葉が来ているそう。英語では「catacomb(カタコウム)」といった表記と発音になります。

カタコンベとは『日本大百科全書』(小学館)によると、古代キリスト教徒の地下墓所で、古代ローマ帝国の版図内にいくつもつくられたと書かれています。ローマで発見された最古のカタコンベは1世紀のころにつくられたそう。なかなかの歴史ですよね。

ただ、今回紹介するカタコンベは、1770年代の終わりと比較的新しくつくられた「カタコンブ・ド・パリ」です。

「サン・イノサン墓地」image by:See page for author, Public domain, via Wikimedia Commons

歴史と由来をさかのぼると、フランス最大にして最古の墓地だったサン・イノサン墓地が「満員」になり、さまざまなトラベルが発生したため、その移転先として、採石場のトンネルだった場所に『カタコンブ・ド・パリ』がつくられたとの話。

その地下墓所には、およそ600万人を超える遺体が結果として埋葬されます。墓所を含めて地下空間の全体の広さは約800ヘクタール(8平方km)あると一部の情報に記述がありました。

バチカン市国が約0.44平方キロメートル、モナコ公国が約2.02平方キロメートルですから、世界最小の国家よりも広い墓地になります。

あまりにも巨大なため、全ての遺骨運搬がまだ完了しない1793(寛政5)年にトンネル内を歩いていた人が行方不明になって、発見までに11年を要したとの話もあります。

image by:Shutterstock.com

現在は、観光地として人を受けていれていて、壁に沿って積み上げられた遺骨などを見学できるそう。


歩きにくくてくつが汚れるなどのデメリットもあり、真っ先に訪れる場所としては観光客に選ばれにくいとは思いますが、死を間近に感じられるスポットとして認知されているみたいですね。

伸び続ける墓/ウズベキスタン

image by:Felix Lipov/Shutterstock.com

最後は、墓の大きさ自体が伸び続ける墓を紹介します。「伸び続ける墓」といっても、何の話だかさっぱり分からないかもしれません。

通常、お墓のサイズは一定です。仁徳天皇の墓(大仙古墳)であろうと、ロッカー式納骨堂であろうと、大小の違いこそありますが、決まった墓のサイズが途中で変わるといった話にはなりません。

しかし、ウズベキスタン東部にある、中央アジア最古の都市サマルカンドには、墓自体の大きさが巨大になっていく墓があります。

この墓は、旧約聖書の「ダニエル書」の主人公にして、イスラム教、ユダヤ教の崇敬の対象であり、キリスト教においては預言者としても考えられる「ダニエルの墓地」といわれています。

伝説によるとダニエルは死後、遺体の身長が伸び続けると信じられていて、その大きくなる遺体を収容するために、お墓自体の大きさも変化しているのだとか。およそ18mまで現在は大きくなっています。

18mとは、JR東日本の通勤電車(E231系)は全長20mほどですから、車両一つ分くらいの長さだと考えると分かりやすいかもしれません。

どうして、墓地を長くする必要があるのでしょうか。

その背景には、言い伝えだけでなく、現実的な狙いもあるそう。墓を巨大化すれば、遺体がどこにあるか分からなくなるので、盗掘などを予防できる効果もあるみたいですね。

image by:Cholpan/Shutterstock.com

今回は、世界の奇妙なお墓、不思議なお墓、風変わりなお墓を紹介しました。お墓を通じて、その国の人たちが死者とどのように向き合っているかが見えてきます。

海外渡航中の行き先としてはなかなか選択肢に入らないかもしれませんが、旅先に何かユニークな特徴を持つ墓地があれば、立ち寄ってみても、異文化を感じながらその国の見方が深まって楽しいかもしれませんね。

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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