ヴェルサイユ宮殿やモン・サン・ミシェル、凱旋門やルーヴル美術館など、見どころ満載でヨーロッパ屈指の観光国としても知られる「フランス」。美しい建物に美味しいグルメ、魅力はそれだけではありません。
そんなフランスといえば、日本とは異なる文化がたくさんあり、なかには日本人が驚くような伝統も存在することをご存じでしたか。
例えば、フランスでは一部の店舗などでケチャップがNGとされており、マクドナルドですら、ケチャップではなくマヨネーズをフライドポテトのお供にしているのだとか。そこで今回は、もう少し深掘りしたフランスのおもしろい伝統や文化をご紹介していきます。
目次
- 1お子様用のメニューがない?
- 2パン屋は自由に夏休みを取れなかった
- 3贈り物にワインをプレゼントするのはNG?
- 4同僚や友だちへの挨拶はキスが常識?
- 5遅刻することが礼儀?
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お子様用のメニューがない?
そもそも、ケチャップがフランスの一部では、なぜNGとされているのでしょうか。その背景には、フランスの豊かな食文化を守る目的があるからだとされています。
ケチャップの味に慣らされてしまい、繊細で豊かな味わいが楽しめなくなる国民の「劣化」を気にしているのですね。
実は、似たような話としてフランスでは、キッズメニューがレストランに用意されていないケースが多いです。
例えば、日本の温泉旅館などに泊まっても、高級レストランなどに行っても、メンバーに子どもがいれば、子どもにだけ、ハンバーグやオムライス、エビフライ、ジュースが出ますよね。
大人が、刺身を食べていても子どもは、ケチャップたっぷりのオムライスを食べる、みたいな感じです。
しかし、フランスでは異なる様子。子どもであろうが、出てくるメニューは大人と同じで、親自身も、子どもだからお子様ランチを食べさせようという発想になりにくみたいです。
その背景には、子どものころからさまざまな味付け、食材を体験させて、味の感受性を高めようという狙いがあるからなのだとか。
やはり、すそ野が広ければ、その頂も高くなります。フランス料理が世界三大料理のひとつに数えられ、ミシュランの星も世界的に見て、かなりの数を獲得できている理由には、こうした「食育」があるからだと考える人もいるみたいですね。
その意味でいえば、子育ての場面で、同じようなスタンスを日本人が意識すれば、日本の食文化の発展は一層進むかもしれませんね。
パン屋は自由に夏休みを取れなかった
フランスの食文化の分厚さを感じさせるエピソードとして、パン屋さんの夏の長期休暇(バケーション)にも、独特のルールが存在する様子。
フランス人にとって、バカンスは一大行事らしく、19世紀の後半からまず、富裕層のステータスシンボルになりました。
その後、2週間の連続休暇の権利が労働者にも戦前に与えられ、戦後になると、安く長く滞在できる長期宿泊施設や高速道路網など、社会的インフラが整い、長期休暇が後押しされていきます。
1982(昭和57)年以降は、全ての労働者に25日の年休が与えられ、その後の法改正もあって、非労働の休日がEU諸国と比べても長い国となりました。
しかし、これだけ長期休暇が浸透すると、全員が一斉に休めば、その間の生活に問題が生じます。例えば、パン屋全員が一斉に夏の休暇に入ればその間、バケットすら購入できなくなります。
フランス人にとって、食生活の多様化によってパンの立ち位置が近代以降は変わり、消費量もかなり減っているようですが、
<最も当たり前で、最も価値がある食品>(j-milkより引用)
である点には変わりがないようです。
日本人にとっては、消費量が減ったものの、大切な食べ物=お米である感覚に似ているかもしれません。
その大切なパンが、夏の休暇中には食べられなくなると困るので、パリのパン屋は半分が7月に休暇を取り、残りの半分が8月に休暇を取るようにと、法律でルールが定められていたのですね。
この法律は、1995(平成7)年に更新され、それ以降は毎年改正されて、2015(平成27)年にはいよいよ、パン屋の休暇取得に規制がなくなりました。
しかし、そもそもの始まりは1790(寛政2)年、フランス革命のころにさかのぼります。
定められた休暇のタイミングを守らないと、一日につき11ユーロの罰金が科されほどで、おとがめを実際に受けて罰金を払わされたパン屋も毎年存在したとの情報もあります。ところ変われば法律も変わる、面白い話ですよね。