旅の記憶は温泉から…2023年に行った忘れられない「温泉宿」トップ5

今年も早いものでもう年末。「温泉」のことばかり考えていたら、あっという間に1年が終わってしまう勢いです。

宿泊、立ち寄り湯含めて今年はどんな温泉に浸かったかな?と振り返ってみたら、例年に比べると“にごり湯”の比率が低く、アルカリ性の湯や優しい湯の温泉が多かったというのが印象です。

もちろん思いっきり硫黄臭香る白濁の温泉も堪能しましたが、割合にして全体の2割程度。そんなことをいろいろと思い出しながら「今年行ってよかった温泉宿TOP5」をまとめてみました。

ちなみに、基本的に泉質と湯の取り扱い、建物全体や客室の印象、食事やサービスなどが価格と見合った内容になっているか?という視点で見てはいますが、このランキングはあくまでも非常に個人的なもの。

訪れるまでの思い入れやそのときの気分が大きく左右し、リピ宿も含めているので、一般的な見解とは異なる部分が多いことは最初にお伝えしておきます。

5位 人吉旅館/熊本県

今年初めて訪れた「人吉温泉」。思いのほかというと語弊があるかもしれませんが、想像していたよりもずっと湯が素晴らしく、また観光地としてもなかなか楽しい場所だったので、5位に人吉温泉の「人吉旅館」をあげたいと思います。

「人吉旅館」純和風旅館の佇まい。入口手前にはちょっと休憩したくなる足湯も設置されています。image by:小林繭

昭和9年創業の「人吉旅館」は、国の登録有形文化財に指定され、古い建築物が好きな私は以前から一度訪ねてみたいと思っていた宿。

人吉の多くの旅館同様、3年前の豪雨災害で一時期は休業を余儀なくされていましたが、現在は無事に通常営業をおこなっていて、災害の跡形などまったく感じさせない凛とした佇まいが強く印象に残りました。

二階の廊下から眺める窓の景色も最高。中庭の緑が鮮やかな色を添えます。image by:小林繭

宮大工によって建てられた数寄屋造りの建物には細やかな装飾が施され、とくに中庭を眺める廊下の美しさは格別。それらが人々の手によってひとつひとつ泥を拭われ、修復されたであろうことを想像すると、よくぞ生き返らせてくれた!と思わずにはいられません。


ひとつ、長い歳月をかけてトロトロに磨き上げられた床が新しいものに張り替えられていたことは残念ですが(仕方のないことですね)、いつかまた時を経て床の輝きが増していくのを楽しみに待ちたい気分に。

水深80cmの深めの浴槽。プールのようですが、中にベンチがあって寛げます。image by:小林繭

ちなみに、私が泊まった客室は数寄屋造りの和室ではなく洋室タイプの新館でしたが、目の前に球磨川を眺める広々した造りで居心地もよく、実に快適に過ごすことができたので好印象。

24時間温泉が使えることもポイントで、湯上がりに肌がしっとりと落ち着く感触が気持ちよく、いつまでも入っていられる人吉の湯の実力を実感しました。

また、歴史のある人吉の町は町歩きも同時に楽しめる温泉地であることもわかり、いろいろと発見があったのも楽しかったです。ちょうど復興割「くまモンと行くもん」を利用でき、ちょっとお得に宿泊できたこともラッキーでした。

4位 八丁の湯/栃木県

何度もリピートしているお気に入りの宿、奥鬼怒温泉の「八丁の湯」はいつ訪れても決して裏切らない安定の温泉宿として私の中で不動の地位を確立しています。

「八丁の湯」いつ訪れても心から気持ちよく迎えてくれるご主人と女将。いくたびに新たな憩いの空間が増えているのもすごい!iimage by:小林繭

なんといっても第一にお湯の扱いが素晴らしいこと。そして温泉にプラスして評価したいのが、訪れるたびに必ず進化が発見できるそのホスピタリティの高さです。ホスピタリティの質があまりにも素晴らしいので、リピ宿ではありますが4位にセレクトしました。

八丁の湯のデッキ image by:小林繭

今年はGW明けの新緑の季節にお邪魔しましたが、なんと建物の正面に川を眺める素敵なデッキテラスが登場していたんです!京都の鴨川の川床のように川に張り出した高さのあるデザインで、赤い椅子が置かれたフジロックのようなコーナーです。

宿泊スペースも前回泊まったときからさらに充実していて、以前のログハウスの一部が露天風呂付きの客室としてオープンしていました。

食事もそれまでの山小屋旅館風なメニュー構成から一変、盛り付けの美しさを強調したモダンな和食へと完璧にバージョンアップした内容で、ワインとの相性もバッチリです。

「八丁の湯」のここ数年の華々しい進化には目を見張るものがあり、つくづく時代のニーズを汲み取るセンスに長けている宿だと思っていますが、その根底にはもっとずっと前からしっかりと根を張るおもてなしスピリットがあることを私は知っています。

昔ながらの風情あふれる内湯も素敵です。image by:八丁の湯

客室のリノベーションをおこなう以前の、昔ながらの質素な和室の客室とログハウスだったころの「八丁の湯」も、あたたかなおもてなしの心で旅人をほっこり癒してくれていました。

たとえばバスタオル。初めて宿泊した際には白いバスタオルだったのに、次に訪れたら濃い茶色のバスタオルになっていて(混浴に入るときに白いバスタオルよりも色付きのほうが気持ち的に安心!)、しかも女性用の脱衣所には濡れたバスタオルを乾かす脱水機が設置されていた気遣いがとても印象に残っています。

昔も今も変わらず、チェックアウト後も時間が許す限り温泉を楽しませてくれるスタンスも大好きなところ。

八丁の湯の看板犬。宿の手前まで迎えに来てくれて案内してくれます!image by:小林繭

ちなみに今回新たに造られていたウッドデッキは宿泊客のためだけでなく、ここを通るすべての人のために用意されたスペースであると思うし、そういったホスピタリティがにじみ出る宿の姿には拍手を贈りたい気持ちになります。

奥鬼怒温泉郷の入口に位置する温泉宿としてこれからもずっと湯守りを続けてほしい宿なので、また訪ねてみたいと思います。

  • 八丁の湯
  • 栃木県日光市川俣876
  • 0288-96-0306(ご予約専用ナンバー)
  • ホームページ

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