日本各地には多くの温泉地が存在しますが、日本人のみならず外国人観光客からも人気ですよね。それぞれの泉質が持つ効果から日々の疲れを癒すのにもぴったりです。
一方で、中には温泉に入ると体調が悪くなってしまうという方も…。このような症状を「湯あたり」といいます。ではなぜ、身体を癒すはずがこのようなことが起きてしまうのでしょうか?
温泉ソムリエである遠間和広さんが、ご自身のメルマガ『温泉ソムリエのメルマガ』にて、「湯あたり」がどういったものなのか解説してくれています。
なぜ「湯あたり」が起きてしまうの?

温泉に入って元気になろうと思ったら、気持ち悪くなる、だるくなる、頭痛がする、古傷が痛むなどの不調が出ることがありますが、それが「湯あたり」です。
具合が悪くなのだから湯あたりは悪いもののように思われますが、実は湯あたりは温泉の効果が出た証です。
「好転反応」という言葉がありますが、体によいことをすると一時的な不調を感じ、その後体調が整うというもので、まさに湯あたりがこれに当たります。
イメージでいうと「毒出し」のようなものです。
そもそも温泉の効果は「特異な刺激」によるものといえます。普段体に触れていないものが触れる「特異な刺激」が、免疫力を上げるのです。
インフルエンザの予防接種に似ていて、予防接種は弱いインフルエンザ菌を注射することで抗体ができて、インフルエンザにかかりにくくなったり、インフルエンザにかかっても症状が抑えられやすくなります。
一方、薄めていないインフルエンザ菌そのものを注射したらインフルエンザを発症しますが、抗体は予防接種を受けた時よりも強いものとなります。
なので、温泉も刺激が強い酸性泉、硫黄泉などは湯あたりになりやすく、優しい単純温泉は湯あたりになりにくいのです。
ということで、湯あたりはむしろよいことと書いたものの、やはり具合が悪くなるのは嫌ですよね。しかも、湯あたりは湯治を始めて4日目あたりに出やすいので、3泊4日の旅で具合が一番悪い時に帰ってくることにもなりかねません。
では、温泉の効果が出ながら湯あたりを予防するにはどうしたらいいのか?
徐々に温泉に慣らす
いきなり刺激の強い温泉に入ると、その刺激に負けて湯あたりになる可能性が高まります。
なので、単純温泉から始めて、次にあまり濃くない塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉や二酸化炭素泉の温泉に入ります。
そして、放射能泉、含鉄泉、含よう素泉、硫黄泉、酸性泉、そして強塩泉と呼ばれる濃い塩化物泉に移っていきます。
十分なかけ湯
「慣らす」ということでいえば、「かけ湯」は温泉の温度と泉質に体を慣らすためのものなので、入浴前に「十分なかけ湯」をしましょう。
水分補給
当然ながら脱水症状は体によくありませんし、湯あたりの具合の悪さが強く出ます。特に「入浴前」に十分な水分補給をしましょう。
入浴15分から30分までに水分補給をして、サラサラな血にしておきましょう。
ぬるい温泉を選ぶ
刺激が強い泉質は湯あたりになりやすいのですが、熱い温泉も湯あたりになりやすいです。熱さは体力を奪うので「湯疲れ」にもなりやすいです。
また熱中症のような症状にもなるので、ぬるい温泉を選びましょう。ただ、ぬるいからといって長湯すると湯あたりが出やすくなるので注意しましょう。
水で濡らした冷たいタオルを頭にのせる
「ぬるい温泉を選ぶ」と似ているのですが、頭のオーバーヒートは具合が悪くなる原因になります。
そこで、水で濡らした冷たいタオルを頭にのせて入浴しましょう。車のラジエターみたいなものですね。
ビタミンCを摂る
ビタミンCは湯あたりを予防しやすくしてくれます。緑茶にもビタミンCが含まれていますが、積極的にビタミンCを摂取するなら、ビタミンC飲料やサプリメントを利用しましょう。
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