創建は「厳島神社」よりも前。神秘の謎に包まれた宮島最古の神社へ

観光スポットとしても大人気の広島県・宮島。多くの観光客のお目当は1400年の歴史を誇る世界文化遺産「厳島神社」だと思いますが、この神社よりも前に建てられた宮島で最も古い神社があるってご存知でしたか?

広島県出身のライター 御田けいこさんがその宮島最古の神社を紹介してくれました。

厳島神社よりも歴史が古い宮島最古の神社

最近、広島の観光がアツい!といわれています。2014年に広島市を訪れた観光客数は前年比1.2%増の1165万2千人で、なんと、4年連続で過去最高を更新。

とくに外国人観光客が24%増というから「HIROSHIMA」はインバウンドに大きく貢献しているといえるでしょう。

また、トリップアドバイザーの「外国人に人気の日本の観光スポット2015」では2位に広島平和記念公園3位に宮島(厳島)が2年連続ランキング。(1位はこれまた2年連続で京都の伏見稲荷大社)。

さて、宮島を訪れる観光客が必ず訪れるのは平清盛によって造営された厳島神社

厳島神社の近くでくつろぐ観光客

「必ず」というより「このため」に広島への旅を考えていらっしゃる方が多いのでは。海の上に立つ朱色の大鳥居と神社のたたずまいは改めて、日本の美に回帰させてくれるようです。

今回は厳島神社よりも歴史が古く、宮島最古といわれる神社を紹介しましょう。

それは大元(おおもと)神社


この神社は厳島神社をすぎて宮島水族館方面に向かって歩き、徒歩約15分の場所にあります。創建年は不明ですが、厳島神社(593年創建)より古い神社なのです。

ご祭神は国常立尊、大山祇神、そして厳島神社の初代神主、佐伯鞍職(大和時代の安芸の豪族で、この神社の最初の神主。市杵嶋姫命の神託により厳島神社を創建した人物)。

実はこの神社、屋根が「大元葺と呼ばれる六枚重三段葺の板葺きになっています。これは中世の絵巻物にみられるだけで、今日現存する唯一のもの。

現在の拝殿は1523年に建てられたもので、拝殿内にはさまざまな奉納額が飾られています。そのうち「御島巡」という文字の額は毎年5月15日に船で島を一周し、浦々にある9社を参拝する「御島巡式」に由来するもの。

大元神社は、御島めぐりの最後に訪れる社となっていることから、この神社がいかに由緒ある存在であるかがわかります。

また、例祭は1月20日で、この日は争い事をしないことを念じて、弓矢で的を射る「百手(ももて)祭」が行われます。

「このお祭りは百手(1手2本)200本の弓矢を射る御弓始の儀式に由来。 現在は、的の裏面に甲・乙・ム(こう・おつ・なし。)の3文字を組み合わせた“鬼”に似せた文字が書いてあり、この字には「年の始めから争いごとはしない」という含みをもっています」(宮島観光協会)

古い歴史のある大元神社のある大元公園は、国内外のツーリストが集結する厳島神社の喧騒と打って変わって、静けさが漂う場所。今まで何度か行きましたが、毎回、観光客は2、3組に出くわすぐらい。

大元神社へ向う途中にある商店街

水晶山の麓にある大元公園の奥に広がっているのは深い森。

深い森が広がっています

島内で放し飼いされている鹿にも会えます。

ところでみなさん! バンビみたいに愛らしいからと安易に食べ物をもって鹿に近づくのは危険ですよ。
実は私、お弁当をねらい打ちされ、食べられたことがあるのです。

華麗なる厳島神社と森の一角に建てられた素朴な大元神社

ある意味、宮島のオモテとウラといった感じですが、両方訪れてみるのはいかがでしょう。

  • image by:御田けいこ
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