日本では毎年多くの犬や猫が、保健所や動物愛護センターなどの行政施設で殺処分されています。動物の虐待等の防止を法律で定めた動物愛護法がはじまった当初は、なんと120万件以上の殺処分が行われていました。しかし、2013年に動物愛護法が改正されて、飼い主やペット業者の責任や義務が強化され、「殺処分ゼロ」に力を入れて取り組む自治体が増えたこともあり、近年は年々減少傾向にあるようです。今回は、日本国内における自治体の取り組みや、殺処分ゼロを継続する海外の事例等について紹介します。
日本国内では年々減少。背景には行政の頑張りが
飼い主が何らかの理由で飼えなくなったペットや、飼い主がわからない動物たちは、各都道府県の保健所や動物愛護センターなどの行政施設に引き取られます。そこで引き取られた動物は、新たな飼い主が見つかれば、譲渡されます。自治体側も、なるべく殺処分しないで済むように返還・譲渡に力を注ぎますが、譲渡されなかった場合は、ずっと飼育管理を行うことは難しく、止むを得ず殺処分することになります。
現在の日本国内の「犬・猫の殺処分数」はご存知でしょうか。環境省の調査によると、その数は、年間約8万2,900(平成27年度)。
全国の犬・猫の殺処分数の推移
image by: 環境省
この数字は果たして、多いのか少ないのか。この推移を見てみると、動物愛護法が定められた翌年には122万件以上もありましたが、年々減少しています。
この減少に背景には、2013年に改正された動物愛護法で、飼い主はペットが死ぬまで飼い続ける責務や、終生飼養に反する理由での引き取りは行政が拒否できることにあったなどの影響があったと言われています。それに加えて、「殺処分ゼロ」を目指して取り組む自治体が増えたことなどが挙げられます。