アマビエ、塗壁、山男…地元で語り継がれる伝説の妖怪たち


近畿エリアの妖怪にイケメンがいた?

古くからの歴史が多く、古都が多い近畿エリアでは、妖怪にまつわる伝承が多くあり、「(くだん)」や「桂男(かつらおとこ)」など、独特な妖怪たちが潜んでいます。

件/京都府

天保7年の瓦版に描かれた「件」の最古の例image by:Unknown author / Public domain

顔は人間(角はついているけど)、体は牛という姿の怪物「」。災害にまつわる予言能力があり、的中率は100%といわれるこの妖怪は、予言を伝えると死んでしまうそうです。

1836年の瓦版では、丹後国(京都)に出現したと報道され、件が現れたあとは豊作になったと言い伝えられ、有り難がられたといいます。

輪入道/京都府

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「輪入道」image by:Toriyama Sekien (鳥山石燕, Japanese, *1712, †1788) / Public domain

京都の東洞院通に現れるという「輪入道(わにゅうどう)」。鳥山石燕『今昔画図続百鬼』では、男の顔がついた牛舎の車輪が炎に包まれている様子が描かれています。見た者は魂を失うのだとか…

また、滋賀県で言い伝えられている、車輪の妖怪「片輪車(かたわぐるま)」と同類ともいわれていますが、こちらは女の人の顔が描かれています。

鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「片輪車」image by:Toriyama Sekien (鳥山石燕, Japanese, *1712, †1788) / Public domain

栄螺鬼/和歌山県

鳥山石燕『百器徒然袋』より「栄螺鬼」image by:Toriyama Sekien (鳥山石燕) / Public domain

三重県海岸部で伝わっている「栄螺鬼(さざえおに)」はサザエの妖怪です。人間のような腕を持っているそうですが、貝の部分には目がついたサザエの顔が特徴。

鳥山石燕の『礼記』では、「スズメがハマグリになるならば、サザエも鬼になる」として、この妖怪を生み出したとされています。

これとは別に、和歌山県の伝承では、かつて海で溺れていた美女を海賊が見つけて助けましたが、下心をもっていた彼らはその女性に襲いかかります。

しかし、実は栄螺鬼が女性に化けてたそうで、悪さをした海賊の睾丸を栄螺鬼が食いちぎってしまったとか。貝を食べる時に、ふとこの伝承を思い出してしまいそうですね!

桂男/和歌山県

竹原春泉画『絵本百物語』で描かれた「桂男」image by:Takehara Shunsen (竹原春泉) / Public domain

月がでた夜空に現れるという、月の住む妖怪「桂男」。和歌山県では、満月ではないときに長く月を見ていると、桂男に招かれ命を落とす危険があると言い伝えられていたそうです。

もともとは、インドから中国へ、中国から日本へと伝わった伝承ともいわれています。注目すべきは、この桂男、かなりのイケメン妖怪だとか

古典『伊勢物語』のなかで「桂男のような」という表現があり、「美男」のことをさす慣用句としてもつかわれているそうです。イケメン妖怪と聞くと、ちょっと会ってみたいですよね。

次は関東の妖怪を紹介します。関東には有名な妖怪がたくさんいました。

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