SNS(ソーシャルネットワークサービス)は若者を中心にここ10年ほどで急速に普及し、今では数多くのサービスが登場しています。以前は「若者のモノ」というイメージも強かったSNSですが、最近はシニア世代にも人気です。
離れ離れになった友人との再会や同窓会、
シニアに一番人気のSNSは「Facebook」。理由は文字で語りたいから
シニアに最も利用されているSNS(ソーシャルネットワークサービス)はFacebookという説が定着しています。これを裏付けるデータのひとつに、ソニー生命保険が2013年9月に発表した「シニアの生活意識調査」があります。この調査では、回答した50~70代の26%がFacebookを使っていて、2位のTwitter14.2%を大きく引き離しています。
仕事の関係で、私も様々なSNSに登録していますが、日常的に利用しているのはやはりFacebook。他のTwitterやInstagram、mixiなどはほったらかし状態です。この傾向は、どうも私だけではないようで、60代後半の男性がこんなことを言ってきました。
「私のTwitterをフォローしたとのことですが、ツイッターは付き合いきれないと判断して止めました。まだ私の名前が出てきたとしたら、それは過去のログの残骸です。今後はFacebookのほうをよろしくお願いします」。
では、Facebookがシニア世代に一番人気なのはなぜでしょう。ひとつは、実名と勤務先や出身学校などを登録すること、また、写真で顔が見えることで、安心して利用できると判断していることです。Twitterなどのようにニックネームや匿名でも利用できるSNSは、無責任な発言やフェイクニュースが多いかもしれない、信用できないと敬遠されがち。
一般に年齢が高ければ経験も豊富なので、慎重になっていきます。そして、若い世代ほどにはネット環境に馴染んでいないので、個人情報の漏洩とかトラブル情報にばかり目がいってしまう傾向があります。
Facebookも100%安全ではありませんが、よくわからないSNSという仕組みの中では比較的安心と感じているということでしょう。シニア世代にSNSを浸透させるには、安全性への対応と情報の信用度をいかに高めるかが重要です。
SNSに語れる場を求めている
Facebookがシニア世代に人気のある理由はもうひとつあります。シニアにとって「Twitterが付き合いきれない」のは、まず140字という字数制限です。140字では語るにはあまりに不十分(最近は制限を解除したようですが)。充分に語れないことへのフラストレーションがたまります。お手軽すぎる点がかえって不満なのです。
シニア世代はもちろん写真も大切ですが、やはり文字を使って自分の状況や思いを語りたい、知らせたいという思いが強いのです。だから、誰だかわからない匿名やニックネームでの利用は論外です。写真がメインのInstagramも同様です。
また、若いうちは、今日、どこでどうしたということを投稿して、多くの「いいね!」を稼ぐ一過性の評価で満足かもしれませんが、シニアの場合は、記録性を求めます。その事柄とのかかわり、それへの思い、関連する知識や経験(つまり蘊蓄)などを語る一種の自己表現手段として利用している面もあるのです。
それに関連するようなデータがありました。MMD研究所の60~79歳の男女を対象にした「2016年シニアのスマートフォン利用に関する調査」です。
SNSの利用状況に関して、Facebookで最も多かった回答が「近況投稿」、Twitterで最も多かったのは「閲覧のみ」。Twitterでの「近況投稿」はわずか22.2%でした。つまり、表現するならFacebook。そして、シニア世代の文字で語りたい欲求を見たしてくれるSNSは今のところ、Facebookということなのでしょう。
確かに、Facebookのシニア世代の投稿では、文字数が多い傾向があります。自身のブログに誘導する人もいますが、なかには、写真はなしで、延々と近況や思いを語る長文投稿も少なくありません。
そんなものを誰が読むのかと思うかもしれませんが、その人は、どのくらい自分の言いたいことを表現できたかに重きを置いているのであって、読まれるかどうかはそれほど気にしていないかもしれないのです。
また、自分の投稿に一所懸命で、友達の投稿にはほとんど反応しない、つまり「いいね!」もあまりしたことがないという人もいます。自分の「いいね!」の数は気にしても。
先日、「これからは、皆さんの投稿も読むことにしました」という70代後半男性の堂々の投稿を見て、妙に納得したところでした。
位置づけとしては、自分史をネットに公開しているような感覚なのかもしれません。
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