「町おこし」として、様々な取り組みを行っている地方自治体は少なくありませんが、山形県朝日町は全国的にも珍しい取り組みをしてています。それは神社…といってもただの神社ではありません。なんと信仰の対象は「空気」で、その名も「空気神社」というのです!
話だけ聞くと、怪しい神社のようにも聞こえますが、そこには朝日町の自然を愛する有志の方の深い考えがありました。今年も6月3日〜5日に「空気まつり」が開催される「空気神社」ですが、どのようにして誕生したのでしょうか?
山形の山奥にある「空気神社」
名称も参拝方法もユニークな「空気神社」が山形県朝日町の山奥にあります。
空気と神社。
あまり結びつかないイメージですが、どうして、どうして、これは究極の町おこしアイデアでした。しかも、このユニーク企画の発案者や推進者として活躍したのは、町の将来を案じるおじさんたちなのでした。
「空気神社」に行くには、朝日山麓家族旅行村「Asahi自然観」と空気神社の幟を目指します。
ブナ林の参道を登っていくと、まず「木・火・土・金・水」の五つのモニュメントが見えてきます。
この世の中のものはすべて、この五つの元素から成り立っているという古代中国の思想「五行」を取り入れ、空気もそのひとつであるという考えから建てられたものとか。水のモニュメントはブナの森の水が湧き出る仕組みになっていて、参拝者はここで手足や口を清めます。参道をさらに登っていった標高620mの頂上に御神体が鎮座しています。
といっても、御神体らしきものは5メートル四方のステンレスの鏡板。緑に囲まれた山奥なので、周りの緑や空の青さを映し出し、不思議な雰囲気を醸し出しています。鏡板は神羅万象、春夏秋冬のすべてを映し出すもの、つまり、空気も光に変えて映し出しているという考えだそうです。
また、御神体の3メートル下には素焼きの大きな甕が12個設置してあり、外部の振動を音に変える、すなわち、空気を音に変換するという地下殿があります。
空気神社での参拝方法は二礼四拍手一礼。なぜ四拍手かというと、春夏秋冬と4つの季節があるから。
四拍手した後は、空高く両手を上げ、空気をいっぱい吸って「いつも空気をありがとう。汚さないようにします」と誓って、最後に一礼するのがおすすめとか。