温泉好きなら一度は訪ねたいと思う奥鬼怒温泉郷。奥鬼怒という名のとおり、鬼怒川の源流付近、ブナの原生林に囲まれた標高1300m〜1500mの山の中に点在する手白澤、加仁湯、八丁の湯、日光澤温泉の4つの温泉を総称してそう呼んでいます。
奥鬼怒温泉郷はそもそも大変山深い場所にあることに加え、このあたり一帯が日光国立公園に制定されるため、一般車両の乗り入れができません。
このアクセスの悪さが、秘湯を秘湯として守り続ける所以。秘湯好きから熱い支持を集める温泉として知られています。
今回はこの4つの温泉のうち立ち寄り湯が可能な加仁湯と八丁の湯、そして日光澤温泉の三箇所を訪ねてきました。
どの温泉も混浴があり(というか混浴がメイン)、泉質はもちろん、ロケーションや風情も秘湯の名を裏切らない素晴らしいものでした。
それでは、さっそく奥鬼怒温泉の秘湯めぐりを紹介しましょう。
関東なのに冬は北海道より寒いことも!?これぞ秘境・奥鬼怒温泉郷へのアクセス
奥鬼怒温泉の入り口は、川俣温泉のさらに奥に位置する女夫渕駐車場から始まります。ここに車を停め、あるいは鬼怒川温泉駅からバスでやって来て(1日4本、所用時間約90分)、この先は歩いてお目当ての温泉を目指します。
四季折々の自然に彩られたトレイルコースは、本格的な山歩きとまではいかなくても、近所の公園に行くという感覚ではちょっと無理。ある程度しっかりとした準備があったほうが安心です。
歩きやすい靴、急な雨に備えての雨具の準備(山の天気は変わりやすい!)、水、虫除けなどなど。ちなみに、冬季(12月から4月上旬ころ)は完璧な雪山となるためアイゼンは必須。と聞けば、その山奥のほどがわかるはず。秘湯度に期待も高まりますね。
極上やわらか湯で万人を魅了する「八丁の湯」
女夫渕駐車場からハイキングコースを歩くこと約90分。そろそろ休憩したいなぁあという気分が高まってきたころ、渓流の緑の中にチラリと赤い屋根(久しぶりに目にする人工建造物なので、すぐにわかるはず!)が映ります。
昭和4年に開湯したという「八丁の湯」は、古くは「ランプの宿」と呼ばれ、夜になると宿中にランプが灯され、100%自然湧出のかけ流し、一切追い炊きをしない自噴高温泉(中性低張性高温泉湯)が自慢の宿です。
現在、温泉は露天風呂が全部で4つ(4つのうち1つは女性専用、3つは混浴です)と、男女別の内湯が各1つずつ。完璧に露天がメインの作りとなっています。
混浴露天といってもちゃんと入り口も脱衣所も男女別の作りになっているので、まったく気負う必要はありません。しかも女性はバスタオル巻きOK! これなら臆することなく、露天を満喫できそうです。
露天風呂の入り口は、まず女性専用の「滝見露天風呂」から。この露天を通って、その先に続く3つの混浴露天風呂(男湯の脱衣所とは直で繋がっています)に出られる仕組みとなっています。
バスタオルを巻いているといっても、扉を開けたら裸の男性陣が大勢なんて図にはあまり遭遇したくないので、おそるおそる扉を開けると、想像していたよりもずっと開放感あふれる露天空間が広がっていました。
目の前に大きな滝を眺める気持ちのよさそうな石造りの「滝見の湯」が女性用の「滝見露天風呂」より断然見晴らしがいいというのは、もちろん想定内。
運よく他には誰の姿もなかったので、まずは滝を真正面に眺めながらお湯をいただくことに。「八丁の湯」の湯質は無色透明。
ほのかな硫黄の香りと、豊富な湯の花が実に“温泉”らしく、肌に当たる湯の柔らかさには素晴らしいものがあります。勢いよく音を立てながら流れ落ちる滝を眺めながらの露天はリラックス度200%。
一段上には昭和4年の開業時からの露天風呂「雪見の湯」があり、さらに石の階段を上った高台には、滝を真横から眺めることができる「石楠花の湯」。
3つの露天は異なる距離や角度で滝見を楽しめるようにデザインされ、なんとも粋な配され方に感心してしまいました。
「石楠花の湯」からの見晴らしは最高で、ゴーゴーと滝の音をすぐ近くに聞きながら、マイナイスイオンいっぱいの山の緑を眺めることができます。
ただ浴槽のサイズがこぢんまりとしている高台のバルコニー的空間なので、先客に男性がいると入りづらいと思います。下の露天風呂から誰も人がいないタイミングを狙って入るのがコツ。
- 八丁の湯
- 栃木県日光市川俣876
- 0288-96-0306
- 公式サイト