言葉を失うほどゴージャス。世界のVIPをもてなす「迎賓館・赤坂離宮」

東京都港区赤坂にある「迎賓館」はその名の通り、外国からの国賓・貴賓を迎賓するための施設です。2016年より観光振興のため、通年にわたり一般公開されるようになりました。

前庭は人数制限がなく、申し込み不要で無料。本館・主庭、和風別館については、ネットで申し込みをして参観することができます。以前にこちらを訪れたことがあるという無料メルマガ「風次郎の『八ヶ岳山麓通信』」の著者が、迎賓館の内部の構造から歴史までを詳しく解説しています。

最もゴージャスな「迎賓館赤坂離宮」

正面外観 / Photo Collection: State Guest House, Akasaka Palace

建物は日本で最もゴージャスな宮殿といわれている。1909年(明治42年)竣工し、当時日本の一流建築家や美術工芸家が総力を挙げて建設した日本における唯一のネオ・バロック様式の洋風建築物当初皇太子(後の大正天皇)の住居・東宮御所として建てられたのであった

10年の歳月と510万余円(現在のお金に換算すれば500億円以上)の総経費を投じて建設されたこの建築は、ベルサイユ宮殿に倣った壮麗なネオバロック様式で、地下1階、地上2階建て。白い花崗岩に覆われた華やかで重厚な姿が周囲の緑の中で華麗に堂々として見える。

設計したのは明治期に活躍した建築家 片山東熊(1854年- 1917年)である。山口県生まれ、工部大学校の建築学科第1期生。 工手学校(現工学院大学)造家学科教務主理であった東熊は12歳の幼さで奇兵隊に入隊、戊辰戦争では会津へ遠征と言う経歴を持つ。その後ヨーロッパへと渡り、一年余りの時間をかけて宮殿建築の調査を行って東宮御所の構想を練り上げたのであった。

東熊の作品には、

・東京国立博物館(表慶館):1909年(明治42年)竣工。1978年(昭和53年)重要文化財に指定された。大正天皇のご成婚を記念して計画された日本ではじめての本格的な美術館。

・グランドプリンスホテル高輪貴賓館(旧竹田宮邸):1911年(明治44年)竣工。

・京都国立博物館 特別展示館(旧帝国京都博物館 本館)=1895年(明治28年)竣工。
1969年(昭和44年)重要文化財に指定された


などがある。

東宮御所は戦後国に移管され、国立国会図書館など国会及び行政の機関に使用されていたが、戦後国際関係が緊密化し、外国の賓客を迎える機会が多くなってきたので、この赤坂離宮が迎賓館として5年間をかけて改修され、昭和49年(1974年)に和風別館を伴って完成したのである(本館改修は村野東吾、別館は谷口吉郎が設計)。

また、2009年(平成21年)には、本館、正門、主庭噴水池などが明治以降の建築としては初めて国宝「迎賓館」国宝に指定されている。

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