温泉宿に泊まってお会計をするとき、気にすることなくいつの間にか支払っている「入湯税」。150円程度の金額なので、あまり気にならない方がほとんどだと思いますが、どうして温泉に入るだけで税金がかかるのでしょうか?
メルマガ『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』の著者で元『旅行読売』編集長の飯塚さんが、知られざる「入湯税」の正体とその使い道を暴露しています。
入湯税は何に使われているのか?
温泉宿に泊まると、必ず付いて回るのがこの「入湯税」というやつだ。
1泊2食付き1万円(税別)となっている場合は、消費税の800円のほかにこの入湯税150円(大半がそう)が加算され、1万950円となるのである。
消費税込金額で表示している場合や、ネット決済の場合も、どういうわけか、この入湯税は現地で「別途申し受けます」ということが多い。
で、今号で取り上げてみたいのは、この「入湯税」とはどんなものか、なぜ、何のために徴収され、特に「何に使われているのか」ということである。
温泉通であれば存在自体は当然知っているのだろうが、実際に何に使われているのかまで知っている人は少ないのではないか。
まずは、そのさわりとして、総務省のデータをご紹介してみたいと思う。
この入湯税の定義とはどんなものか、である。 ウィキペディアによれば、
「環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設および消防施設その他消防活動に必要な施設の整備ならびに観光の振興および観光施設の整備に要する費用に充てることを目的として、入湯客に課す税金」
と書かれている。
国の管轄は総務省で、その「入湯税の概要」にも同じことが書かれている。課税主体は「鉱泉浴場(温泉法にいう温泉を利用する浴場)所在の市町村」で、納税義務者は「鉱泉浴場における入湯客」である。 税率は「1人1日150円を標準とする」となっている。
ここで「んんん?」と思う人もいるはずだ。 標準税率が150円ということは金額は150円でなくてもよいということなのである。
総務省の統計は平成27年度のものが最新になって発表されている。
27年度の課税団体数(つまり市町村)は976団体で、税率は最低が20円、最高が250円とかなりの幅があるのである。
といっても、20円のところも250円のところも1か所ずつ。 標準の150円を採用している団体は893で全体の91.5%となっている。
ちなみに、東京は23区をそれぞれ1団体として数えている。
で、だ。 H27年度決算額で、入湯税の税収はなんと227億円にも上るのだ。
これを何に使っているのかというのは、各自治体によってかなり違いがあるのが現実である。
税区分としては目的税であるから、先に書いた「環境衛生施設、鉱泉源の保護管理施設および消防施設その他消防活動に必要な施設の整備ならびに観光の振興および観光施設の整備に要する費用」にあてるのだが、実際は自治体の一般財源に繰り込まれていて、観光とあまり関係ないことに使われている例もあるようである。
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