昭和5年創業、広島県向島の現地に行かないと飲めないマルゴサイダー


さて、サイダーを飲みながら後藤鉱泉所の趣きある建物も観察するのも楽しみのひとつ。
映画のロケにも使われそうなノスタルジックな空気を醸す建物は天井も木造の板張り。がっしりと重厚な造りで、上質な木を使っているのがよくわかります。

工場に隣接するお店

後藤勝子さんに建物についてうかがったところ「初代がええ(良い)木材を使って建てたんですよ。昭和初期に建てられ、何度か建増ししています。古い建物だから、碍子(がいし)もそのまま残っとるでしょう。若い人は碍子いうても知っとってんないかもね。ツバメもいつのまにかあそこに巣を作ってしもうてね」。

天井にツバメが巣を作っている
がっしりとした天井には碍子が見られる

碍子とは電線を絶縁する器具。昔の住宅には磁器で作られた碍子が普通に使われていましたが、今ではほとんど見かけることはありません。この後藤鉱泉所の天井を見上げると、ところどころに碍子が取り付けられ、この建物が重ねてきた歳月を感じます。

「今、この建物を作るとしたら材料(木)もなかなか揃わんじゃろうし、作れる職人さんの数も少ないじゃろうね」

ところで、後藤鉱泉所の炭酸水はテレビ番組で紹介されたこともあり、最近では生産が追いつかず、1週間で在庫がなくなることも。多忙ながらも後藤さんご夫妻は工場からちょくちょくお店の方に顔を出されます。

この奥で飲料水が作られる

勝子さんは「私は一期一会を大切にしているんですよ。わざわざ向島まで足を運んでくださった方とできるだけ話したいと思っています」と話す。

気さくな後藤勝子さん

ご夫妻の気さくさが人を呼び、それが事業が長続きさせる秘訣なのかもしれません。

後藤鉱泉所
広島県尾道市向島町755-2
tel 0848-44-1768
不定休
http://www.ononavi.jp/souvenir/drink/detail.html?detail_id=702(尾道観光協会サイト)
※尾道市街地から向島に渡るには3航路ありますが、尾道渡船(兼吉かねよし渡し・旧公営渡船) 利用がベスト。船賃は1人100円

  • image by:御田けいこ
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