「日本はこのままではいけない…」と誰もが危機感を抱く今、国を挙げた「地方創生」への取り組みが活発です。それぞれの地域ならではの取り組みが行われていますが、具体的にどこでどんなビジネスがどう成功をおさめているのか気になりませんか?
無料メルマガ『毎日3分読書革命! 土井英司のビジネスブックマラソン』から、地方創生ビジネスの事例をまとめた教科書をご紹介。
地方創生を考えるきっかけになる一冊
こんにちは、土井英司です。
東京一極集中が進むなか、故郷を盛り上げようと、各地で頑張っている若者たちがいます。
テレビや新聞でちらほら目にする地方創生の動き、断片的には知っていても、具体的にどんなビジネスなのか、どうやって成功させたのか、誰が関わっているのか、まとめて知りたいとずっと思っていました。
そんななか、見つけたのが、本日ご紹介する『地方創生ビジネスの教科書』。
新書大賞1位に選ばれた『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』の著者、増田寛也さん監修による、地方創生ビジネスの成功事例集です。
強度は鋼鉄の4倍。世界が注目する「ハイテク蜘蛛の糸=QMONOS(クモノス)」を開発した山形県鶴岡市のバイオベンチャー・スパイバー、1粒1000円の「ミガキイチゴ」で新市場を切り開いた宮城県山元町、豪華寝台列車「ななつ星」、JALファーストクラスでも採用された高級栗「やまえ栗」、赤字続きのまずいみかん、「じゃばら」で大成功した本州で一番人口が少ない飛び地の和歌山県北山村、海外ブランドの下請けにまで落ちていた今治タオルを復活させた佐藤可士和…。
地方創生のさまざまな事例が載っており、通常のビジネスの参考にもなる、教科書です。
気になる事例を、さっそくチェックしてみましょう。
◆世界が注目する「ハイテク蜘蛛の糸=QMONOS(クモノス)」
「衝撃に対して強靭で、車の外装や内装に使えます。これからの自動車や輸送機器が、安全で、軽く、省エネルギーのものへと変わる。もしかしたら、ぶつかってもケガをしない車がつくれるかもしれません」自動車部品だけではない。飛行機、船、電子機器。脱石油のものづくりが可能となる。手術用の縫合糸や人工血管などへも応用ができる。素材としてのポテンシャルが高く、用途の可能性は無限に広がっている。
「東京は土地がないから、オフィスビルも狭い面積のまま高層階になりがちですよね。すると、会社のフロアも各階に分断されてしまう」その結果、社員同士が顔を合わせる機会が減ってしまうし、アイデアが生まれるような会話が少なくなってしまう、というのが、東京にオフィスを構えるデメリットだと関山さんは考えている。
◆宮城県山元町の「ミガキイチゴ」
岩佐さんは発想を逆転させる。パック詰めをやめて、「ひと粒入りのイチゴ」「箱入りのイチゴ」にしたらどうか、というのだ。傷ついたイチゴは、「イチゴを使ったスパークリングワイン」に加工すればいい。そうやって出てきたのが、彼らのブランド「ミガキイチゴ」のアイデアだった。
◆栃木県宇都宮市北西部、大谷石の採掘跡地を観光資源に変えた事例
無事、視察を終えた松本さんらは、地底湖クルーズが多くの人の興味を惹きつけるキラーコンテンツになると確信、「大谷アンダーグラウンド・リゾート事業」と銘打ち、事業化に向けて大きく踏み出した(中略)。
だが、長年放置されてきた採石場には、ゴミや産業廃棄物が散乱していた。かといって、小資本で始めたLLPに、ゴミ処理にかけられる予算などなかった。そこで松本さんの考えた作戦が、モニターツアーを企画して応募者を募ることだった。「ろまんちっく村」の来訪者や知り合いに募集をかけたところ、珍しい地底湖を探検できるとあって、予想以上の人が集まった。「ゴミ拾いの代わりに地底湖のカヌーを楽しんでもらったり、採石場にハイキングコースを造るために、雑草を刈ってもらったり。作業自体をイベントにしながら、ツアー造成をしていきました」。
◆和歌山県北山村のまずいみかん「じゃばら」
2001年1月の楽天への出店を機に、意外なところから追い風が吹いた。テレビ東京のニュース番組が、自治体運営の珍しい取り組みとして、北山村の出店を取り上げたのだ。半数近くの人が花粉症に効いたと答えたというモニター調査の結果が紹介されると、注文が殺到し、放送終了からわずか30分で100万円を売り上げた。
関係者の熱い思いと、ビジネスの工夫、一発逆転のドラマが、読ませてくれます。
やっぱりビジネスの根幹には、「熱い思い」がなければならないと、再確認させられる、そんな内容でした。
愛する故郷を復活させたい人、地方創生ビジネスにヒントを見出したい経営者には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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