英語力だけではうまくいかない。スピーチコーチが追求する“英語スピーチ”の本質とは

「英語は話せるのに、伝わらない」――そんな悩みを抱えるビジネスパーソンが増えています。グローバル会議やプレゼンで求められるのは、高度な英語力ではありません。

メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の著者であり、スピーチコーチとして数多くの経営者やトップアスリートを指導してきたスピーチコーチの森裕喜子さんが、英語スピーチの本質に迫ります。

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英語スピーチで差がつくのは、英語力のせいではない

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最近、英語のスピーチトレーニングの依頼が増えていると感じます。少し前までは、「英語のプレゼン」といえば、海外赴任中の方や、外資系企業の方に限られていました。ところが、ここ最近は、もっと一般化してきた印象です。日本のビジネスが明らかにグローバル化してきた、それが本当に浸透してきたということなのでしょう。

トレーニングの初回で、よく聞く言葉があります。それは「英語は話せるが、伝わっていない」。つまり、相手の心が動く話になっていないというのです。

「英語で仕事はできているんです」「海外駐在もしていました」「会議も、メールも、特に困ってはいません」。でも、スピーチやプレゼンとなると、伝わらない…。単語は出てくる。

文法も大きく間違っていない。TOEICの点数も、決して低くない。つまり、英語力はある。それでも、会議でリーダーシップを出せない、プレゼンで相手に伝わっている感じがしない。そんな違和感が、静かに積み重なっているようなのです。

これは、「何かの象徴でもある」と考えました。


英語スピーチが「避けられない仕事」になった

なぜ、こうした相談が増えているのか。理由は明確です。英語で話さなければならない場面が急激に増えている。そして、そこで「伝わる話」をしなければならないからです。

グローバル会議、海外投資家向け説明、オンラインでの英語ミーティング…こういった場合、「英語が得意な人に任せる」ことができません。その立場の人が、英語で話す必要がある。これが、今のビジネスの現実なのです。

現場に行って、私自身が驚いたこと

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半年くらい前のことですが、ある会社のグローバル会議で登壇されるお客様のリハーサルに立ち会いました。会場に入って、正直、驚きました。そこにいたのは、ほぼ全員が、英語で自然にやり取りをするバイリンガルのビジネスマンだったのです。

ああ、日本はもうここまで来たんだな。会社員生活は相当前に終えている私にとって、この光景は、なかなか衝撃的でした。

公用語を英語にする会社が珍しくないそうですが、英語が当たり前の世代が、すでに現場を支えているんですね。そういった方々は、30代くらいが中心のように思えます。

その一方で、前に立って話す役割を担う経営層は、もう少し上の世代。ほんの10年か少しの年代差ですが、随分と、違ってるんですね…愕然。

英語の問題に見えて、実は別の問題

こうした現場を見ていて、私は一つの確信を持つようになりました。それは、「英語スピーチの問題は、英語力そのものではない」ということです。

実際、トレーニングで扱うのは、難しい単語、複雑な文法、ネイティブっぽい表現ではありません。ビジネス英語ですから、意外とシンプル(ポジションや業界にも寄りますが)。その仕事のビジネスのバックグラウンドがわかっていれば結構やりとりできてしまうんですよね。

英語スピーチをする際の焦点は、むしろ、

  • ・結論をどう出すか
  • ・動詞をどう選ぶか
  • ・どう息を吐き、どう声を出すか

ということで、すなわち、人前で「伝える」ための基本要素なのです。つまり、日本語でも英語でも、同じことなのです。

英語は、日本語より「伝える」訓練になる

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不思議なことに、英語のスピーチトレーニングをすると、「日本語の会議でも、話が短くなりました」「指示が具体的になりました」という声をよくいただきます。

英語は、スピーチやプレゼンの点からすると、

  • ・結論から話す
  • ・行動を動詞で指定する
  • ・音をはっきり出す

ということを、言語そのものが要求します。だから英語は、「伝える力」を鍛えるには、非常に優秀な教材でもあるのです。

英語が伝わらない本当の理由は「発音」ではない

ですが実際には多くの人が、「発音を良くしたい」と言っているのではないでしょうか。確かに、日本人の英語発音には課題があります。しかし、スピーチの観点で見ると、本当の問題はそこではありません。

問題は、「息を吐いていない」ということ。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、日本語は、息をあまり吐かなくても話せる言語です。口を動かさず、もごもご話すだけで、言葉になる言語なのです。

で、その状態のまま、英語を話そうとする。結果、英語の「言葉」として聞き取れないのです。息を吐かない英語は、こう聞こえます。

例えば、“We need to move forward together.”これを、息を吐かずに言うと、「ウィ… ニー… ムー… フォ… トゥゲ…」のように、単語が分断された音になります。文章として聞こえませんよね。

一方、息をしっかり吐くと、“We need to move forward together.”が、一つの流れになって、聞こえてきます。実は日本語でも同じことが起きているのですが、日本語だとそれが目立たないだけ。英語では、息をちゃんと吐いて音を出していないと、言葉として聞こえてきません。

英語スピーチトレーニングで起きた変化

以前に実施した経営者向け英語スピーチトレーニングも、まさにそうでした。「英語力=スピーチ力」ではないのです。しっかりと声に出すから、言葉になる。日本語でも英語でも、スピーチは、この大前提が実は一番大事だった、ということなのです。

英語が苦手な方、遠ざけてきた方、英語力じゃないとするなら、ちょっとチャレンジしたい気持ちが、生まれてきませんか?日本語でのスピーチ力も高まる英語スピーチ練習。ぜひ、挑戦してみてください!

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