私が田舎暮らしを決めたワケ。若い移住者にその理由を聞いてみた

田舎暮らしについてどんなイメージを持っていますか? 都会に比べると不便はありますが、季節ごとに食の旬に触れたり、自然の中で子供を育てたり、田舎の良さはたくさんあります。

今回、都市のあり方や地域コミュニティ、市民参加に関する情報を発信しているメディア「マチノコト」では、長野の雪国・小谷村に移住した若い人たちに、「田舎に暮らして初めて気づいたこと」をテーマにインタビューしています。

地域の暮らしに触れて初めてわかること〜長野県小谷村に移住した

こんにちは、ライターのへるめです。

先日、白川郷に行く機会があったんですが、そこで仲良くなった方がいました。話をしていると、長野県小谷村というところから来た方でした。ただ、その方の地元は「小谷村」ではなく「北海道」でして、今は自分の地元ではないところに移住して暮らしている方。

いまや「地方暮らし」はトレンドの一つかと思います。経済的な豊かさの限界や都市圏の人口の過密化と地方の過疎化に伴い「都会の高級マンションに」「郊外の一戸建てを」というロールモデルは問い直されました。多様化する「暮らし方」の中で特に「地方暮らし」は、これまでマチノコトでもいくつか取り上げてきました。

ただ、実際、どうなんだろう?というのが僕の本音でした。

話は戻りますが、白川郷で用を済ませた僕は「せっかくだし!」という思いもあって、その方へお話しを聞かせていただくことにしました。ですので、今回は普段のマチノコトとは違うテイストの僕の探訪録となります。

ちょっと勢いで取材したところもあるのですが、思った以上に考えさせられる機会にもなりました。少し長くなりますが、地方で暮らすということ、そして、今の時代に日本で暮らすということに関心のある方にはぜひ、読んでいただければと思います!

小谷村の大網

縁あって、訪ねたのは、真っ白い雪原の広がる小谷村の大網(おあみ)。


村の人口は3000人ほどで、50個以上の集落に分かれています。その中でも大網は端の方に位置しており、村全体からみると大きな集落です。

お話を聞いたのは、大網に移住して、暮らしている「くらして」の方々。「くらして」は、2組の夫婦、4人のチームです。

活動としては、昨年の4月からはじまり、それぞれが思い思いのことをやっているのだそう。具体的には、畑や田んぼを耕したり、村のおばあちゃんの暮らし方からいろいろなこと(生活の知恵など)を学んだり、林業や狩猟をしたり。また、「つちのいえ」という宿泊施設を運営しながら、村外の人を招いたり、小谷村の暮らし方を体験出来るワークショップを開いたりしているんだそうです。

今回は、偶然、白川郷でのワークショップで出会った「くらして」のメンバー「さっこ」こと前田聡子さんと、メンバーの一人である「なべちゃん」にお会いでき、お話を聞かせていただきました。

最初にお話を聞いたのは、さっこさん。

もともと北海道出身で野外教育プログラムに参加した際に小谷村を生活の拠点としたのが村との出会いなんだそうです。現在は、依頼ベースでフリーのカメラマンの仕事をしながら、小谷村で暮らしています。

「くらして」のメンバーの中では、村のにしばしば出て行く役割で、小谷村のことを発信しながらも外のいろいろな人とつながって、小谷村に連れてくるような動きをしているそうです。

まず、「くらして」は普段どんな活動をしているか、お聞きしました。

さっこさん:くらしての活動の基本は林業です。だけど、冬は林業ができないので、毎週末イベントをやりました。炭焼きのイベントをしたり、鹿の解体をして、皮をなめして暮らす道具をつくるってワークショップをしたり、ライブもしたり。そうやってイベントをいれると、宿泊込みでお客さんが来てくれて。そんな中で、自分たちがやっている暮らしの活動を伝えたり「暮らすことってどういうことかなぁ?」とか「都会と田舎ってどっちも必要かなぁ」とか、そういうことをいろいろ話したりしながら、一緒に学ぶ機会をつくりながら、暮らしていく、みたいなことをやっています。

「くらして」のイベント場所としても、小谷村の宿泊施設としても活用されているのが、「くらして」が運営する「つちのいえ」。1階部分の3分の1がとちもち工場で、3分の2が共有スペースになっています。キッチンや居間、囲炉裏があり、2階が寝室。去年の9月に完成したのだそう。

「つちのいえ」をつくるキことになったキッカケは、「くらして」メンバーのあやかさんの存在です。

村で集落支援員として働く彼女は「とちもちの会」があったのを知りました。「とちもちの会」は村のおばあちゃん方で運営され、4〜50年、「とちの木」の実を「とちもち」として食べられるようにする特殊な調理技術を継いでいた会ですが、今はなくなっています。あやかさんは「それを復活させよう!」と、若い女性の方々でおばあちゃん方に「とちもち」のつくり方を学び始めたのが直接のキッカケになりました。

その後、1年かけて、とちもちづくりの工程を学んでいるとき、小谷村の役場の方々が「若い人に伝承するのだったら、新しいとちもち工場が必要だろう」と思い立ち、「せっかく新しく建てるなら!」と役場側で体験交流施設や農家レストラン、民宿などの様々な併設プランが上がったんだそうです。

ただ、その中で「くらして」の方々の気持ちは複雑でした。

さっこさん:役場が勝手に建物つくって、「はい、やって」って言われるのもいやだったんです。だから、設計の段階から関わらせてもらいました。そこで、じぶんたちがどんな場所だったら、いいかっていうワークショップをして、自分たちがここで感じている大事だなぁと思うことを共有していきました。

その中で「ちゃんと宿泊の許可が取れている宿泊施設があるとしっかりと滞在してもらえるから、いいよね」ということになって。じゃあ、山小屋みたいに、みんなが泊まれて、共有スペースがある場所がつくろうっていうので、設計士さんといろいろやりとりしてつくったのがつちのいえなんです。

施設はとても綺麗だけど穏やかな施設でした。僕としては、ずっとかかっているラジオの内容が小谷村の交通情報など、小谷村で起きる出来事が9割ぐらいを占めていて、そのローカル感がなんともよかったです。

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