私が田舎暮らしを決めたワケ。若い移住者にその理由を聞いてみた

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2015/10/06

そのときのために備えたい

「地方の暮らし」は個人的に「自給自足」のイメージがありました。そこで、「大網は野菜は取れるのかどうか」を聞いてみましたが、野菜は地理的な問題で難しいそうです。

ただ、住んでいた人が一番多いときに、70世帯400人が食べていけるくらいの田んぼや水、山はあったようです。

さっこさん:今は40世帯70人だから、余りまくっています。けれど、おばあちゃんたちは畑を空けられなくて、今も昔のときと同じだけの畑をやっているの。いっぱい野菜が取れて、全然一人じゃ食べきってないんだけど、やっている。だから、余った野菜はたくさんくれる。売ろうとすると企画を考えないといけないから面倒くさいんだと思う。

おばちゃんたちは、ただ、自由にやりたいだけなの。それもあって、うちらは畑をしなくても、野菜は十分まかなわれる。でも、いつかはその人たちがいなくなる。そのときに、畑のやり方とか全然わかんないとアレだから、今は一緒にやっています。

ただ、畑はおばあちゃん一人でできるけど、田んぼの方は少し勝手が違うみたいです。

さっこさん:田んぼは畑と違って、おばちゃん一人じゃできないから、ほとんどもうやっていません。今、たぶん、4世帯ぐらいしかやっていない。だから、うちらが去年田んぼやっていたら「うちのもやらない?」ってどんどん言われる。

でも、米作りも無農薬とかこだわりたいんだけど、無農薬にするってことは雑草を自分で取るってこと。そうなったとき、広範囲だと薬まかないと無理だよね、ってなってしまう。そういう葛藤が起きたりする。どういう風に折り合いをつけていくかというところ。20人しか住まないなら、20人が食べられるだけの田んぼやったらいいのかなぁ、とも思うんだけど。

でも、もし、将来400人の人が住むことになったとしたら、そのときもう一回山を田んぼにするのはすごく大変。昔の人は山を田んぼにしたんだよ。その労力は半端ないと思う。ピラミッドつくるイメージぐらいのこと。なんでできたの!?って感じ。今、そういう歴史のある田んぼがどんどん減ってきている。自分たちの分だけ、ってだんだん小さくしていけばいいんだけど、なんかもったいないなぁと思って。それだったら、もうちょっとと思って、うちらが食べる分以上に2倍ぐらいは頑張っている。

小谷村の大網

去年「くらして」では、余ったお米と炭、とちもちとじゃがいもをセットにした「大網便」を50セットつくり限定販売して、すぐに売り切れるほどだったそうです。

また、田植えや稲刈りの時期になると、あちこちから手伝いにくる人がいて、たくさんの人がさまざまな関わり方で応援してくれているのを感じているんだそう。「ただ、」とさっこさんの話は続きます。

さっこさん:それでも、おばちゃんたち一人のところが多くて、田んぼは荒れちゃったのもいっぱいある。まだ、200人分ぐらいはあるかもしれないけど、だいぶ減っているよ。でもね、なんか、いつか、そういうときが来る。そして、人間は気づくだろう、と思う。

このまま、こういう集落がどんどんどんどん日本で消えていく中で、東京とか、そういう都市だけが残るとは思えない。やっぱり、こっち側も必要だと思う。だから、地方の人口が増えていくような状況も今後起こりうるんじゃないかなぁ、とか思ったりする。そのときのために備えたい。それを信じてね。

小谷村の大網

さっこさんの話は、僕の住んでいるところから離れた雪がたくさん降り積もる山奥の小さな集落の話なのだけど、聞いていると、なんだか他人事ではいられない気持ちになりました。

さっこさんは、元々都市部で暮らしていて、今も、都会と田舎を行き来している立場だからこそ気づくことなのかもしれない。ただ、ただ一人の地方移住者の話だ…と聞き過ごすには違うなぁ、という感じがしました。

先人が開拓してくれた200人が食べていけるほどの自然の恵みをわたしたちは無知と無関心から今、自らの選択で放棄しようとしています。そして、このような流れに乗る地域は、僕たちが知らないだけでもっとたくさんあるのだろう。

かたや、都市部では「自給率の低下」や「食っていくために働くしかない」という声が聞こえます。何かできないか、とも思いつつも何もできていないことに少し歯がゆさを感じました。


さっこさんとの話を終え、今度は「炭焼き場」で作業をしている「なべちゃん」のもとに向かいました。

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