世の中の人々は世界(日本)三大◯◯など、三大ナントカを好む傾向があるようです。
さて、日本三大図書館を個人的に選べと言われたら、きっと私は「武雄市図書館」(佐賀県武雄市)、「武蔵野プレイス」(東京都武蔵野市)そして今回ご紹介する「東洋文庫」(東京都文京区)を挙げるでしょう。
このなかでも東洋文庫ミュージアムにある「モリソン書庫」は美的感性を刺激するという点で、アタマひとつ突き抜けている存在感。
前に立つと圧倒され、息を飲まずにいられない迫力があり、「日本一美しい本棚」と評されることも。今回はそのモリソン書庫を擁する東洋文庫にどっぷり浸ってみましょう。
JR山手線駒込駅から約10分歩き、庭園「六義園」を越えたあたりにある「東洋文庫」。こちらは知る人ぞ知る、アジア全域の歴史と文化に関する東洋学研究のために開設された施設です。
広々としたエントランス。ガラス張りの入り口には東洋諸国の言葉で「ようこそ」の文字が。
「東洋文庫」というちょっとおカタイ名前の同施設は、国宝5点、重要文化財7点を含む東洋学研究の文献が約95万冊も収蔵されています。その歴史は古く、三菱第三代当主の岩崎久彌(1865-1955)が1924年に設立。アジア全域の歴史・文化についての研究も行われ、蔵書は無料で閲覧できます。
併設の「東洋文庫ミュージアム」は、2011年10月のオープン。
もっと多くの人たちに東洋学に興味を持ってもらいたいという願いから、展示や講演会などを行う場としてスタートしました。
1階は常設展示スペース。
東洋に関する諸外国の文献の展示や、東洋文庫の成り立ちについて解説されています。
ちなみにミュージアムの設計は三菱地所設計によるもので、2013年度のグッドデザイン賞を受賞しています。2階に続く階段から1階を見下ろすと、天井が高くて解放感がある空間であることを実感。
そして2階に上がるとすぐに目に飛び込んでくるのが「モリソン書庫」。
数えると気が遠くなるだろう、おびただしいしい数の本は、ナント約2万4000冊!
天井に届くほど高い書庫は効果的なライトアップが施され、さまざまな色の背表紙が作り出す美の光景に言葉を失うはず。
ずっと眺めていると、この空間が本のパイプオルガンであるかのように感じます。
本が鍵盤と化し、無音の、けれど胸を締め付けるような旋律を奏でている…そんな場所。
書庫の前にはソファがあるので、ここに座ってじっくりと書棚の美を鑑賞することもできます。なんと人々のココロのツボを押さえた演出なのでしょう。