鈴鹿峠がボーダーライン?東西「お雑煮」をたどる東海道五十三次

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お雑煮にはその土地の個性が強く出ますよね。もともとは直会(なおらい)から来ているとも言われる食べ物。直会とは神様にささげたお酒や食べ物をおろして、料理を作り食べる酒宴を意味します。

大みそかに神様に供えたもちや野菜などを元日に煮込んで食べるお雑煮は、大まかに言ってもちの形状と汁の味付けで大別され、特にもちに関しては、丸もちを使う西日本角もちを使う東日本の境界線が存在するとも言われています。では、その境界線はどのあたりにあるのでしょうか。

そこで今回は東京の日本橋から京都の三条大橋まで通じる東海道53の宿場町を目安に、どのあたりでお雑煮に大きな変化が生じているのか調べてみたいと思います。

東京のお雑煮は焼いた角もちとすまし汁が基本

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東海道には53の宿場町があり、日本橋からスタートすると最初の宿場品川になります。全国のお雑煮の大きな分類をまとめると、もちと汁に大きな違いがあり、角もちと丸もちすまし汁とみそという文化圏に分かれています。関東や東北は角もちとすまし汁の組み合わせが基本。すまし汁とは、かつお節でだしを取り、しょうゆで味付けした透明な汁ですね。

筆者も東京で生まれ埼玉で育ち、親も東京の池袋出身ですので、わが家のお雑煮は完全に関東風。具材は焼いた角もちと鶏肉、コマツナ、シイタケ、なると巻きといった感じです。

文化庁編著の『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』(女子栄養大学出版部)を見ても、東京は品川区だけでなく、郊外の日野にせよ、八王子にせよ、具材こそ若干異なっているものの、基本は焼いた角もちと、かつお節でだしを取ったしょうゆのすまし汁スタイルとなっています。

小田原のお雑煮も角もちとすまし汁

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東海道を進みましょう。品川を通過すると、宿場町は現在の神奈川県内にある川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚、藤沢、平塚、大磯、小田原と続きます。上述の『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』には、神奈川県小田原市のお雑煮が紹介されており、焼いた角もち、かつお節でだしを取ったしょうゆのすまし汁となっています。

もちろん、もち以外の具材については地域によって変化がありますが、(後)北条氏という関東の名門の武家が長く支配した小田原も、やはり関東スタイルのお雑煮が確固たるかたちで残っているのですね。


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