本州なのにこの景色。青い海とサンゴ礁が美しい和歌山県串本町

ネンブツダイの群れとアザハタ

海なのに湿地?生息する魚は約1,300種も

本州最南端串本町。写真右奥が潮岬

串本は世界最大級暖流「黒潮」が流れている影響で海水温は高く、冬場でも16度以上あり、夏場は29℃に達します。そのため透明度も高く、熱帯の海で見かけるミドリイシやアザミサンゴなどのハードコーラルがよく発達しています。

春の風物詩。間伐材で作られた人工漁礁へ産卵に訪れたアオリイカ

その一方、温帯地域の栄養価に富んだ海水と出会う場所でもあり、冬場から春にかけて海藻の林が出現するなど、四季折々の海中風景を楽しめます。黒潮の乗ってやってきた熱帯地方の生物と地元、温帯地方の生物を同時に観察できる珍しい環境で、1,300種もの魚類が確認されています。

トラウツボを掃除するクリーナーシュリンプ
サンゴイソギンチャクと共生するクマノミ

こうした貴重な環境が評価され、2005年11月に、「串本沿岸海域」574ヘクタールがラムサール条約湿地に登録されました。環境庁のHPによると、ラムサール条約でいう湿地とは以下のように定義しています。

「天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかを問わず、更には水が滞っているか流れているか、淡水であるか汽水であるか鹹水(海水)であるかを問わず、沼沢地、湿原、泥炭地又は水域をいい、低潮時における水深が6メートルを超えない海域を含む」

これには、藻場やサンゴ礁などが含まれます。海なのにラムサール条約というのも面白いポイントです。

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