おでんのおいしい季節がやってきましたね。おでんというと代表的なタネ(具材)は、ダイコンや卵ではないでしょうか?
練りものなどで有名な「株式会社紀文食品」が毎年公表している、おでんや鍋に関する調査『紀文鍋白書2018』を見ても、全国的にダイコンと卵がおでんのタネとして愛されているとわかります。それ以外で言えば、こんにゃく、もち入り巾着などですよね。
しかし一方で、ほかの地域には見られない、地域色の強いおでんのタネも世の中には存在します。例えば関東の人には当たり前のちくわぶも、ほかの地域の人にとってはなじみが薄いため、上述の鍋白書ではランキング圏外の結果になっています。
そこで今回はちくわぶのような地域性の強いおでんのタネをいくつか地域別に紹介したいと思います。「ちょっといつものおでんに飽きたな」と思ったら、思い切って具材として活用してみるといいかもしれませんよ。
静岡編
最初は静岡県のおでんから。静岡のおでんの特色と言えば、黒色のはんぺんです。
はんぺんと言えば白を思い浮かべると思いますが、静岡の場合は同じ魚の練り食品でも魚一匹を丸ごと使っているため、真っ白ではなく黒色をしています。辞書で「はんぺん」を調べると、
<(「半平」とも書く。一説に、駿河国の料理人半平の創製による名という)魚のすり身に山芋などを加え、半方形・方形などに作ってゆでたもの>(『広辞苑』(岩波書店)より引用)
とあります。この記述を見る限り、はんぺんは静岡(駿河国)で生まれた可能性もありますね。
そうなると静岡のはんぺんが特徴的なのではなく、黒色の静岡はんぺんこそ、本来のスタンダードだったのかもしれません。
また、ほかの地域にはない種としては、豚モツが有名との話。静岡県民に聞くと、全国と同じく牛すじも人気だと言いますが、豚モツも欠かせないタネのようですね。
名古屋編
上述の『紀文鍋白書2018』には、愛知県民の愛するおでんの具材がランキングで紹介されています。上位から順に紹介すると以下のようになります。
- 1位 ダイコン
- 2位 卵
- 3位 もち入り巾着
- 4位 こんにゃく
- 5位 はんぺん
これだけ見るとほかの地域と変わりがありませんが、愛知県、特に名古屋のおでんはタネというよりも、タネを煮込む汁が特徴的です。愛知県と言えばみそ煮を思い浮かべる人も少なくないと思います。同じようにおでんもみそ煮なのです。
おでんのタネにみそをつけるのではなく、八丁みそなどで煮込むのですね。みそ煮込みのダイコンや牛すじは絶品です。冬の静岡旅行では、ぜひとも漫喫したい一品です。
姫路編
次は兵庫県西部の姫路。姫路ではタネでも煮込み汁でもなく、つけ汁にほかの地域とは異なるユニークさがあります。
<生姜醤油で食べるおでんはすべて「姫路おでん」>(姫路おでんの公式ホームページより引用)
とあるように、濃口のしょうゆにショウガをすって入れ、好みに合わせてみりんや日本酒を少々入れて食べると、姫路風になるのです。