最高の美女とデートだったのに…「大切な夜」に僕が犯した大失敗とは

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春が待ち遠しい今日この頃。「三寒四温」という言葉どおり、寒かったり暖かかったり、そんなどっちつかずな季節に恋の思い出話を聞いたのは、筆者と同じ大学の先輩である、ひとりの男性。

彼は寒さと暖かさが入り混じるこの季節になると、留学先で出会ったドイツ人女性への片思いの記憶、そして彼自身が感じた一方的な熱い感情を思い出すのだとか。

その春先の恋の舞台はニューヨーク。お互い語学学校の留学生でした。

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夢を追いかけるドイツ人の彼女に恋をした

「奇跡に近いと、いまでも思っている」

僕が一目惚れした彼女は、夢を追いかけるひとりの女性だった。彼女はドイツ出身で、その強い眼差しにグッと引かれ、覚えたての英語を使いながら一生懸命デートに誘ったことをいまでも思い出す。

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彼女と出会ったのは、2016年の春。ニューヨークの語学学校だった。

雪の降る冬とは一変し、日差しが強いニューヨークの春はすでにジリジリと太陽が僕たちを焦がし、日焼け止めが欠かせない。

当時、僕は23歳、彼女は25歳だった。アナウンサー志望のとても美しい女性で、英語学校の中でも一際目を引く存在。まさに学校のマドンナだ。

ただ、学校でみんなが集まるラウンジで見かけることはあっても、彼女との接点はまったくといっていいほどなかった。なぜなら僕たちが通っていた語学学校は、英語のレベルによってクラスが分けられていて、僕は下のクラス、彼女は上のクラスだったから。


でも、英語のレベル関係なく交流するタイミングがやってきた。それが学校の卒業パーティーだ。

僕たちの通っていた語学学校では定期的に卒業パーティーがあって、その度に飲み会のようなものが開かれていた。

今回、学校を卒業するのは、僕を含めた数十人の外国人たち。パーティーの当日になって、彼女も僕と同じタイミングで卒業することを知った。

その卒業パーティでは、顔は知っているけど話したことがない人ばかり。もちろん彼女もそのひとりで、当時は名前なんて知らないし、きっと彼女も僕の名前を知らなかっただろう。

卒業パーティー自体はとてもフランクな飲み会で、立食スタイルでチキンやフレンチフライなどの軽食を楽しみながら、お酒を飲む感じだった。

学校は卒業するけど、せっかくなら後悔のないように彼女と会話してみたいと思った僕は、お酒の力を借りて彼女に話しかけた。

つたない英語を駆使しながら、わからない英語は表情とかジェスチャーでなんとか伝えたり。

すると彼女は笑ってくれたから、もしかしたら、いや大きな勘違いかもしれないけど、少しは仲良くなれたのかなって思っていた。

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立食スタイルの一次会を終え、二次会、三次会のように、お店を変えながら卒業パーティーは続いた。

それぞれの飲み会の場でも彼女と少し話す機会があったけれど、会話できたという事実だけで浮かれていた僕は、何を話したかまったく覚えていない。いま考えると、かなりお酒の力を借りていたんだなと思う。

たぶん、日本の名所だとか、日本の料理だとか、自分に直接関係のないことを英語で話していた気がする。その方がきっと話が続けやすいだろうから。

どれほど時間が経ったのだろう。憧れの彼女と話せた夢のような卒業パーティはようやく終わりを迎え、解散することに。もう彼女には会えないと思っていた。

しかし、夢は続いた。なんと学校を卒業した後も、ニューヨークに滞在中の卒業生同士での交流が始まったのだ。

いろいろなルーツを持つ人が集まって、ただご飯を食べに行く。留学生たちはそこに参加していろんな人と交流して、もっと英語力を磨くという心意気があったようだが、僕は当初「暇つぶしに行くか」程度にしか思っていなかった。

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待ち合わせ場所に着いてみると、そこにはあの彼女がいた。

まさか彼女がいるとは思わなかった僕は、驚くそぶりを隠してごく普通に涼しい顔をして参加した。本音をいうと、遠くから彼女が見えたから、心の中の浮かれ度はマックス。

しかし彼女は、僕を見かけた瞬間に手を振ってくれたのだ!

初めて会話をしたあの卒業パーティー当日は、彼女も僕も溺れるぐらいお酒を飲んでいたはずだけど、僕のことを覚えてくれていたようだ。

おそらく僕の人生史上最高に嬉しかったし、その日は学校の友だち10人くらいでランチをしたけど、彼らの話はまったくといっていいほど覚えていなかった。お酒を飲んでいないのに。

ランチを終えるとすぐに解散することになったので、僕は何食わぬ顔で彼女が属していたグループに便乗し、みんなで「メトロポリタン美術館」へ行くことになった。

あわよくば一緒にまわれるといいなと期待していたけれど、彼女の隣には同じドイツ出身と思われる友人がついていたので、一旦距離を置くことに。

でも、この時間が終わってしまうと、もしかしたら彼女に会えないかもしれない。

彼女がイヤでなければ連絡先を交換したいし、できることならもっと彼女のことを知りたかった。だって僕たちが会話したのはたった数回だけ。まだニューヨークにいるなら、次は偶然ではなく、チャンスを作りたいと思ってしまった。

「ウィリアムズバーグ」image by:Mihai Speteanu/Shutterstock.com

そしてどうにか彼女のfacebookを聞き出すことに成功して、「よし、これでメッセンジャーでのやり取りができる!」と最高に浮かれた。

さっそく彼女に「ブルックリンのウィリアムズバーグのフェスに行かない?」と送った。

おしゃれなスポットとして当時から人気だったウィリアムズバーグは、デートに最適なだけでなく、なんといっても建物のアートを見るだけで楽しい街。イコール、英語力の違う僕たちでも楽しめるはずという算段だ。

定期的になにかしらのフェスが開催されているウィリアムズバーグは、日本でいうところの代々木公園だろう。

彼女がドイツへ帰るのはあと数週間というところで、たまたま予定が空いていたその日。僕はウィリアムズバーグへゆくデートを取り付けた。

待ち合わせは朝10時。西洋風のブルックリンのお洒落な町並みを抜け、住宅街を歩き、目的地の公園にたどり着いた。

でも、おかしい。フェンスに囲まれた広場は殺風景で、人っ子一人いない。

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何度も地図と見比べたが、正しい場所に来ているはず。まさかと思ってイベントのページを読み返して見ると、開催期間を間違えていたのだ。

すでに終わっていたイベントは、よく見ると会場の広場にゴミとしてチラシが風に舞っていた。平謝りする僕。彼女は残念そうにしながらも、許してくれた。

その日はふたりで近くのチェーンのカフェに入り、一息つきながら、今度同じ場所で開催されるスイーツのイベントについて調べ、リベンジというかたちでお互いの日付を合わせていくことになった。

「ふたりで開催時間を確認したので、大丈夫!」と彼女は笑ってくれた。

そして予定通り、2度目のデートへ。もうとにかく、気合十分で向かった。今回の場所はブルックリンのイーストリバー沿いの公園で、駐車場のようなフェンスで囲まれたコンクリートの広場に数多くのスイーツ店が出店している。

おそらく500人くらいはいただろう。かなりの盛り上がりを見せていた。一通り見て回ったあと、美味しそうなクレープの屋台の列に並んだ。

ただ、やたら長い列で、たったひとつのクレープを買うために1時間以上もかかってしまった。しかもその日は春をすぎて初夏だというのに海風が冷たく、半袖だった僕はカタカタ震える始末。

でも、彼女はとても優しく、そして僕にとっては刺激的だった。寒がっている僕を後ろからハグして、そのまま列が進むのを待ってくれたのだ。

情けない姿の僕に彼女はとても優しく接してくれた。もしかするとペットか何かと同列に扱っていたのかもしれないけど、当時の僕はそれだけで舞い上がっていた。

しばらくすると彼女も寒くなってきたらしく、海風が吹くたびにふたりしてとある言葉を連発。もちろんよくない言葉だが、他人には聞こえないように、僕にだけいうところ、そういう素直な感情表現をする彼女に惹かれていたのだと思う。

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