都心から放射状に延びる幹線道路のひとつである都道5号線、通称「新青梅街道」沿いの郊外に、一風変わった建物が存在します。
レンガによる組積造りの、時が止まったかのようなレトロな建物に、庭園に並ぶ街灯の光が、明らかに現代の街灯の光とは異なり不ぞろいに揺れているのです。早速、その不思議な建物を体験してみましょう。
どこか懐かしい雰囲気漂う「ガスミュージアム」
今回訪れた、この雰囲気抜群の施設は、東京ガス株式会社の資料館「GAS MUSEUM がす資料館(ガスミュージアム)」です。レンガ造りの重厚感ある建物は、いかにも博物館といった雰囲気ですよね。
ガスミュージアムは、ガス灯館とくらし館および受付といった建物から構成されています。ガス灯館もくらし館も、明治時代に建てられた建物を移設復元したものですが、よく見るとレンガの積方が異なるので、別のところにあった建物なのだろうなということが想像できます。
具体的にはガス灯館は長手積、くらし館の方はオランダ積みという積方であるように感じました。ちなみにガス灯館は、1909年に建築された東京ガス本郷出張所を移設復元したもので、くらし館は、1912年に建築された東京ガス千住工場計量器室を移設復元したものだそうです。
さて、冒頭に述べた街灯についてなのですが、ここにあるものはすべてガス灯です。そして驚くことに13種類にも及ぶガス灯があり、その点灯形式がそれぞれ異なるため、光り具合が違って見えるのは当然ですよね。
いまでは珍しい現役のガス灯をこれだけ纏めて見る事ことできる場所は、ほかには無いかもしれませんか。この庭園だけでも、一見の価値ありだと感じます。