国際銀行券協会が毎年発表する「Banknote of the Year(今年の紙幣)」にも選ばれているスイスのフラン(CHF)。多様なデザインとカラフルな色使いが特徴的で「美しい紙幣」のひとつでもあります。
そんなスイスにお住まいでメルマガ著者であるApfelさんが、ご自身のメルマガ「スイスの街角から」 番外編~3つの文化に囲まれて ブログでは書けないあれこれで、スイス・フランの新デザインについて紹介しています。
スイスの通貨「フラン」に新デザインが登場
スイスの通貨はフランで、それらには、10フラン、20フラン、50フラン、100フラン、200フラン、1,000フランの6種の紙幣があります。
先日、スイスの1,000フラン札の新しいデザインが発表されました。これは、日本円に換算すると、ほぼ10万円紙幣という感覚のお札です。(2019年3月17日現在、約11万1,000円)
1,000フラン紙幣のテーマは多言語(公用語が4つ)な国のスイスらしく、コミュニケーションとされ、新1,000フラン紙幣のモチーフは、ほかのスイス・フランのお札と同様に、中核に手と地球のデザインが描かれています。
現在も旧札が使用されているこの1,000フラン紙幣ですが、実際に使用する場合、大きな問題もあります。
まず、このお札を出しても、一般の商店では、「お釣りがない」という理由から、支払いを拒絶されることも多々あるようです。
コーヒー1杯をカフェで注文すると、おしゃれなお店で、500円から700円くらい。そこで、10万円札を出すのも、ちょっと考えづらいかも?
スーパーで、100フラン(約1万1,000円)の会計を支払おうとしても、1,000フランを出せば、相手からのお釣りは、900フランが必要です。いくら物価が高いスイスとはいえ、一度の買い物で購入する金額も限られています。
高額なレストランへ出かけたとしても、普段の食事に1,000フラン、お釣り無しで食事する人は、まずいないでしょう。
ふと、友人が働く日本食のレストランで、ロシア人の超リッチなお客様が、400フランほどの食事をし、1,000フラン札を出して、
「お釣りはいらないよ、チップで~。」
と言った太っ腹な人もいたそうですが、それはまあ、ごく稀なオハナシでしょう。
どうして使いにくい「1,000フラン札」が存在するの?
では、なぜ、1,000フランが存在するのかと言えば、スイスは意外にも、まだ現金支払い主義者が多く、支払うことの全てを、現金で済ませる人も多いのです。
個人的に、私はというと、全くその逆で、現金はあまり持ち歩きません。スイス国内では、どんなに小さなお店でもほぼ全て、銀行の口座から会計と同時に直接引き落としされる、ECカードが使用できるし、他のクレジットカードも使用できるので、私の場合、スーパーでの支払いは、ほぼ100%がカードです。
ただし、友人たちと出かける際、ランチなどはワリカンで支払うことも多いので、そんな場合には、現金を準備して外出します。
友人のなかには、支払いは絶対に現金主義という人もいます。人それぞれですが、スイスではまだ高額な紙幣の需要も大きいことは確かなようです。
自分に新しい1,000フランとお目見えする日がやって来るのかどうかは分かりませんが、一度くらい、ポーンと1,000フラン紙幣を出して、支払ってみたい気もします!
- image by:Shutterstock.com
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。