「人口3万人以下の小さなまちのアンテナショップをやっているんです」。そんなお話を聞いたのは、以前ジモトのココロでもご紹介したイベント「出身地Day」でのこと。特定の地域でも、名の知られた観光地でもなく、人口の少ない小さなまちに着目した一風変わったアンテナショップをジモココ編集部が訪れました。
小さなまちの逸品が勢揃い
アンテナショップと言えば、東京都内なら有楽町駅の交通会館や東京駅周辺に多くある印象ではないでしょうか? 今回訪れたのは、東京都の品川駅から京浜東北線で約20分のところにある神奈川県横浜市・鶴見駅。駅から歩いて10分、地元の方の食卓に欠かせない八百屋や果物屋などが並ぶ、レアールつくの商店街の一角にあるのがアンテナショップ「kura-cafe」です。
店前には地方の特産品がずらり。どれも東京のスーパーでも、アンテナショップですら扱っていないかもしれない、まだ見ぬ品々が並びます。
kura-cafeは商店街にある小さなお店にも関わらず、壁に沿って全国各地のご当地品が所狭しと並んでいて、なかなかの圧巻もの。これまでは、お店のある鶴見区の友好都市である福島県棚倉町と、同じく福島県は西会津町の特産品に特化して商品を並べていたそうですが、現在は kura-cafe 主催のイベント「全国小さなまち・むらのおいしいもの選手権」の開催に伴い、全国32のまちの逸品が集結しています。
kura-cafeが生まれた3者の結束
kura-cafeをオープンしたのは2013年10月のこと。店長の中村郁子さんは商店街でお店をやってみたいという思いはかねてからあったそうですが、一人でお店をゼロからオープンすることはただでさえハードルが高いこと。それでも全国の小さなまちの商品に特化したお店が鶴見区の商店街に生まれたきっかけは、kura-cafeにいまも関わる3者の思いが合致したからなのだそう。
「以前、鶴見区役所の職員として働いていて、その時から友好都市の棚倉町とは交流があったんです。東日本大震災から2年がたった2013年の夏、棚倉町から『風評被害を払拭するための拠点をつくりたい』というご相談をうけました。お店をやってみたいという私の気持ちもあり動いてみたところ、復興支援のイベントを熱心にやっていたレアールつくの商店街と出会ったんです」。
ただ、商店街の場所を借りるためには法人格が必要だったそう。そこで手を差し伸べてくれたのが現・運営会社の株式会社イータウンです。地方のまちを応援できないかと考えていたイータウンの思いとも合致し、中村さん×棚倉町×イータウンによる「横浜発ふるさと応援プロジェクト アンテナショップkura-cafe」がオープンしました。
「お店では地方の特産品を売っていますが、地域の人と都会の人との繋りを作ることも私達の役割だと思っています。生産者の方にお越しいただいてイベントを催したり、
実際にkura-cafeの取り組みをきっかけに、棚倉町や西会津町のファンになり、いまや個人的に何度も現地まで足を運んでいる方もいます。そういった方が町のPRするイベントを企画されたり、ゲストハウスを立ち上げるために準備されているケースもあります。こうして、福島のファンの輪がどんどん広がっているのだそうです。