子どもと一緒に「あんたがたどこさ、ひごさ、ひごどこさ、くまもとさ」と何気なく口にしていると、不意に「大発見」がありました。
「ひご」とは肥後であり、「くまもと」とは熊本なのです。呪文のように歌っていただけなので、子どものころは特に注意を払っていなかったのですが、大人になって久々に口にした瞬間、肥後や熊本、船場などの地名が頭に浮かんできたのです。
そこで今回は、何気なく記憶している唱歌や童謡の歌詞の舞台を紹介します。子どもと出かける旅行では、唱歌や童謡の舞台を訪ねてみても面白いかもしれません。よ
『証城寺の狸囃子』(野口雨情作詞、中山晋平作曲)
最初は『証城寺の狸囃子』から。何の歌か分からない人も多いと思いますが、証城寺を「しょうじょうじ」と読むと分かれば、「あ、あの歌か!」と思い至る人がほとんどのはず。
「証、証、証城寺、証城寺の庭は♪」
というリズミカルな出だしの部分だけであれば、ほとんどの日本人が歌えるに違いありません。日本人どころか、1955年にはアメリカ人の女性歌手アーサ・キットさんが『SHO-JO-JI (The Hungry Raccoon)』を英語で歌っています。
「Sho, Sho, Sho-jo-ji. Sho-jo-ji is a raccoon. He is always hungry. So he sings of koi koi koi」
などと、英訳でもリズミカルな歌詞が生かされています。もしかすると、英語圏のなかにも歌える人が存在しているかもしれませんね。
この証城寺は、千葉県木更津市にある證誠寺がモデルと知られています。證誠寺には童謡に関する石碑が置かれており、地元のタヌキ伝説を基に、日本の童謡三大詩人である野口雨情が作詞をしたとされています。
さらにあのリズミカルな歌詞は、作曲家の中山晋平が詩を書き替え、事後に野口雨情に認めさせた経緯もあると、いくつかの資料に書かれていました。
証、証、証城寺と繰り返しの面白さがなければ、ここまで認知される歌になっていなかったかもしれませんね。
ちなみに證誠寺はJR木更津駅から徒歩圏内、木更津港と駅の中間地点の矢那川沿いにあります。東京方面からは東京湾アクアラインでも行けます。ぜひ、訪れてみてくださいね。