ちょっぴり怖い「通りゃんせ」はどこの話?有名童謡の舞台を探す
『ずいずいずっころばし』(作詞・作曲不明)
大人になったいまでも、
「ずいずいずっころばし ごまみそずい ちゃつぼにおわれて トッピンシャン ぬけたらドンドコショ」
と歌える人は多いはず。この暗号のような歌詞にも、実は意味や舞台があるとご存じでしたか?わかりやすいヒントは「ちゃつぼ」。「茶つぼ」ですね。
合田道人著『童謡の風景』(中日新聞社)など各種の書籍で書かれている通り、この茶つぼとは、江戸の将軍に京都から献上する新茶が入ったつぼなのだとか。
この茶つぼを届ける行列が近づくと、東海道(あるいは中山道)沿いの大人たちはわが子を家に閉じ込めて、家の戸を「トッピンシャン」と閉めてしまったそう。
その理由は、日本の童謡研究会『誰も知らなかった本当はこわい日本の童謡』(ワニブックス)にも書かれている通り、行列に対して子どもが無礼を働くと、子ども家族も侍に切り捨てられてしまう(無礼討ちに遭う)からですね。
「たわらのねずみが こめくって チュウ」
と鳴いて怖くなっても、絶対に外に出てこないように、親が歌で子どもに教えたともいわれているのだとか。
ちなみにこの『ずいずいずっころばし』は、女性を「ずっころばし」て、部屋の扉を「とっぴんしゃん」と閉め、「抜けたら」終わりという意味にもとれるため、遊女とお客の駆け引きの場面でも歌われたといいます。
その視点で歌詞を見返して見ると、また違った印象を得られるはずですよ。
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