第二次世界大戦後、連合国側のイギリス、アメリカ、フランス、ソ連の戦勝4カ国によって分割占領されていたドイツの首都・ベルリン。1961年8月には、ソ連によって約155kmもの長さを誇る「ベルリンの壁」が建設されました。
突如分断され、一夜にして家族や友人と引き離されてしまったベルリン市民。1989年の壁崩壊までに、壁を乗り越えて脱出に成功した人もいれば、反対に捕らえられたり、犠牲になった人も少なくありません。
2019年11月9日には、壁が崩壊してから30年の節目を迎えました。今回は、冷戦時にドイツを東西に分断した「ベルリンの壁」の現在と、後世へと歴史を伝える貴重なスポットをご紹介していきます。
「ベルリンの壁」は現在、アートギャラリーに
ベルリン東駅を出ると見えてくるのは、シュプレー川沿いのミューレン通りにある旧ベルリンの壁「イーストサイドギャラリー」です。
東西ドイツ統一直前の1989年11月9日、東ドイツ側からの国外渡航規制が緩和されたのを受け、数日のうちにベルリン市民が壊し始めたベルリンの壁ですが、現存している壁のなかで最も長いのがこちら。オーバーバオム橋まで約1km以上続いており、存在感を放っています。
「国の東西を分断した壁」と聞くと、天にそびえる高さのもののように思えますが、実は高さ3mほどしかありません。意外にもベルリンの壁は登れない高さではなかったのですね。
現在はさまざまな絵が描かれているイーストサイドギャラリーですが、これはベルリンの壁の崩壊後、世界各国から集まった芸術家が、灰色だったコンクリートをキャンバスに見立てて描いたものです。
風刺画や平和を称える絵が多く、過去の悲劇を伝えるもの、当時の人々の思い、未来への希望など、それぞれの作者の思いが見てとれます。
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