廃線を自転車で走る。紅葉の時期に楽しみたい岐阜県「ガッタンゴー」

image by Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

そろそろ紅葉がスタートする時期ですね。さまざまな楽しみ方があるかと思いますが、山間を縫うように敷設された鉄道の廃線から眺める山野の色づきも、格別です。そこで今回は岐阜県の北辺、飛騨市の神岡で楽しめるレールマウンテンバイクの「Gattan Go!!(以下・ガッタンゴー)」を紹介します。

鉱山鉄道の廃線を利用したガッタンゴー

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

岐阜県といっても南北に縦に長く、南北で約150kmほどあります。南の平野部にあたる岐阜や大垣、美濃加茂や多治見などと比べると、北の飛騨市や高山市は山岳地帯になるため、目に見える景色は全く違います。

中部山岳国立公園にも指定される飛騨山脈と飛騨高地が一帯に広がり、その急しゅんな山々を削り取りながら急流が流れています。ガッタンゴーの舞台は、そんな岐阜県北部の飛騨市神岡です。

神岡と聞いて、スーパーカミオカンデや鉱山が思い浮かんだら、かなりの旅マニア。神岡は鉱山のまちとしても知られています。

神通川image by:photoAC

神岡鉱山は亜鉛や鉛を産出する鉱山として知られていて、その廃液が神通川に流され、富山では痛ましいイタイイタイ病が問題となりました。歴史に詳しい人であれば記憶しているかもしれません。

その神岡鉱山を中心に、周囲から産出される鉱山資源を輸送する交通手段として、全長19.9kmの神岡鉄道が活躍していた時代がありました。輸送の手段が自動車に取って替われると、経営が悪化し、2004年に廃線となりますが、まさにその鉄道をレジャー利用しようと始まったプロジェクトが、ガッタンゴーなのです。

全車両に電動アシストが装備されている

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

ガッタンゴーは、19.9kmある神岡鉄道の線路のうち、奥飛騨温泉口駅から神岡鉱山前駅までの片道約2.9km(まちなかコース)と、漆山(うるしやま)駅から二ツ家までの片道約3.3km(渓谷コース)を使って、レールマウンテンバイクによる走行を楽しむプログラムになります。

2本の線路に通常はそれぞれ1台ずつのマウンテンバイクががっちりと固定されており、参加者が自転車をこぐとレールに接地した後輪が線路の頭部を直接蹴って、前に推進するようになっています。

車両そのものはさまざまなタイプがあり、大人2人からファミリーまで、さまざまなニーズに応えてくれます。筆者がチャレンジした車両は、5歳以上の子ども用サイドカーとマウンテンバイクが並んだタイプ。


「こぎ手は1人ですね。頑張ってくださいね」

と、受付窓口やメカニックのスタッフさんがみんなで冗談めかして、楽しませてくれます。コースはもちろん高低差がありますので、上りはそれなりの脚力を求められます。ただし、全車両に電動アシストがついていて、パワーモードを選択すれば、言うほどの負担はありません。

前輪は完全に固定されているため、両手を離したまま運転も可能です。筆者もまちなかコースの帰り道は上りでしたが、多少の慣れも出てきて、沿線の人たちや信号待ちの自転車に手を振る余裕がありました。紅葉の時期は、大いに木々の色づきを楽しみたいですね。

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